「今の時代は、人間の霊的意識が引き上げられる時代だ」というお話を文顯進会長はされます。これは元々、文鮮明師がなす使命でした。私が理解するに、神様が人間の意識を引き上げるにおいて、主に二つの分野における意識の変革がもたらされると思われます。

 

一つは、人間の霊的意識が個人次元から家庭次元に引き上げられるという事です。

 

今までの宗教は、真剣に打ち込めば、独身になります。聖人と看做された人達はそのような人達でした。しかし、誰もが独身を目指せば、人類は滅亡するわけで、家庭次元の人間のゴールとは何なのかを、神様は示して、人類の霊的意識を家庭次元に変革する必要があります。

 

もう一つは、国家、人種、宗教などのアイデンティティの壁を超えて、人類は神様の下の一家族であるという霊的意識に変革される事です。

 

宗教は、人間が神様との関係を取り戻すにおいて、重要な役割を果たしてきました。でも、宗教、国家、人種などのアイデンティティの壁は、人々を分裂させ、争いの要因となりました。そうしたアイデンティティは一気に無くなるものではないのですが、宗教を例に取れば、キリスト教の人が、「自分はキリスト教徒だ」という意識を持ちながら、「神様の下の一家族世界の一員だ」という意識を持つ事は可能です。アフリカなどのように部族間の葛藤が激しい地域では、部族としての意識を持ちながらも、「神様の下の一家族世界の一員だ」という認識がされる事で、争いが解消する道が開かれる事があります。

 

国家、人種、宗教などのアイデンティティの意識を持ちながらも、それを超える道を開こうとされた例は、文鮮明師の言動にも多く見ることができます。例えば、韓国人、日本人という愛国心に訴えながらも、韓国人と日本人をマッチングして祝福する事をされました。日本に対して、母の国の使命を訴えながら、父の国と一つになる事を訴えたのも、そうした例のはずです。

 

何を持ってして、アイデンティティの壁を超えるように導こうとしたのかと言えば、ビジョンや理念に基づいた、真の愛でしょう。

 

この記事を書いてくる中で、米国建国の例を取り上げましたが、過去の国々が、地域の権力者を中心に、国の主権を形成していたのに対して、米国は、神様に主権があると意識を転換させる事によって、全ての人の人権と自由を掲げる、神様の下の一国家を目指しました。

 

それが、今度は、神様の下の一家族世界という、新しい霊的意識の次元に引き上げる事が、神様が意図してきたことであると、思われます。

 

しかし、文鮮明師や文顯進会長が、それを実現しようとするには、大きな障害ができました。それが統一教会という宗教組織でした。統一教会というのは、1954年に創設された、宗教団体でした。その宗教団体は、40年荒野路程とされる期間に必要だったもので、1994年に家庭連合が始まった時には、「宗教の時代が終わった」、「教会の時代が終わった」と文鮮明師は語られていました。

 

40年荒野路程の時代は、民主と共産の冷戦が顕著だった時代でした。その時代には、その時代に適した体制があり、共産主義が崩壊した時に、世界から認められる業績がありました。しかし、その後の時代に、混乱と問題が顕著になったと思われます。

 

前回も書きましたが、組織は良心を持っていません。そして、組織には、自存し継続しようとする力が働きます。多くの組織は、心より体に似ていて、己の組織を保持するのを優先する傾向があります。個人が良心を持ち、自分を犠牲にしても、愛や義や善を見出すのとは違います。

 

世界の統一教会の中で、日本の統一教会が特に異質だったのは、強く組織化されていて、組織への忠誠が善悪の判断の基準になっていた事だと思われます。組織から離れる事を「堕ちる」とも言い、信仰を失う事、大罪とみなしていたのを見受けました。

 

世界の統一教会の組織の中では、位置、名誉、お金、権力に魅力が生まれ、組織の変革を嫌う、既得権益が発生しました。

 

その変革を実行しようとしたのが、文顯進会長でした。文顯進会長は、荒野時代からカナン定着時代への転換を語りました。文鮮明師は、母子協助時代から父子協助時代への転換、先天時代から後天時代への転換など、転換について多く語った時期でした。

 

結果として、文顯進会長は、統一教会の中の最大の悪人のようにされ、「堕落したアダム」とまで呼ばれましたし、文鮮明師の遺族名簿からも外されました。

 

しかし、神様の摂理的意思は変わりません。「人間が神様と摂理を捨てないなら、神様の摂理は継続する」と文顯進会長は語ります。

 

もうすぐ韓国の開天節。日本人には関係がないと、日本では思われるかもしれませんが、そうではありません。人間の霊的意識が引き上げられる時代において、韓半島の未来の重要性を、文顯進会長は「コリアン・ドリーム」の本の中で語りました。日本全体としては、理解されなかったとしても、祝福家庭にとっては、アダム的人物との関係は、生死をもたらすものであり、アダム的人物と母の国の繋がりの重要性は、今も変わらないはずです。

 

文顯進会長は、文鮮明師を愛国者として証し、今年はD M Zで大会をされます。文顯進会長の家庭は、次々に米国軍に奉仕する息子を出す、米国の愛国者です。家庭盟誓に、「家庭では孝子、国家では忠臣、世界では聖人、天宙では聖子の家庭の道理を完成する」とあるのが、今の時代において何を意味するのか、考え祈る月ではないでしょうか?時代を神様の摂理の中で捉えるのが、重要なことのはずです。