もうすぐ韓国の開天節です。文鮮明師は、「朱蒙」というドラマを何度も観たそうです。文顯進会長は、「朱蒙」を観た時、「どんな苦難も乗り越えてくれるだろう」と自分を信じてくれていた、とてつもない信仰に気がついたと語られます。

 

文顯進会長は、韓国での南北統一のための公的行事でも英語でお話しされます。韓国の人にとっては違和感のある事かもしれませんが、文顯進会長は、南北統一を世界的次元で捉えるべきであると考えていることの表れです。実際、文顯進会長の「コリアン・ドリーム」の本は、米国国防情報局の推薦図書に選ばれています。

 

高句麗を建国したとされる「朱蒙」の物語には、国家主権のテーマが出てきます。国家主権の定義は様々にされるとしても、まさに主権であって、人の生死を決定できます。「朱蒙」の中で、朱蒙の養父である王様が人の生死を命じるように、世界の国々では王様に主権がありました。ヨーロッパでは王権神授説が唱えられており、それを創造主である神様に主権があるという理解に基づいて、新たな国を建国したのが米国でした。

 

原理講論には、「神の主権」という言葉が、中心テーマとして出てきます。カルビンの政治や、イランの神権政治か何かを指す言葉のように、誤解をされる可能性がある言葉です。開天節を前に、少し考えておきたいと思います。

 

私は早稲田の原理研究会を通して、統一運動に入りました。当時は、勝共運動の中核になった人達がすでに卒業した後でしたが、右翼的な人達も会員にいました。世界日報事件の時には、占拠に動員された事もありました。友人には、中国に対する特別任務にリクルートされた人もいたと聞いています。共産主義の脅威が身近に感じられる時期でもありました。共産主義の脅威とは、日本の国家主権に対する脅威であったと解釈できる時代でした。

 

愛国と言うと、右翼を連想する人も今の日本では多いかもしれませんが、愛国と言うのはもっと普遍的な概念です。祝福家庭に身近なところで言えば、家庭盟誓に、「家庭では孝子、国家では忠臣、世界では聖人、天宙では聖子の家庭の道理を完成する」とあり、国家における忠臣は、愛国者です。

 

文顯進会長は、孝子、忠臣、聖人、聖子に至るにおいて近道はないとして、家庭においては孝子となる事を教え、男のお子さんは全員、ウェストポイント(West Point)と通称されるエリート陸軍士官学校を卒業し、米軍で愛国者となる道を歩んでいます。ウェストポイントに入るには、国会議員の推薦が必要で、体力と学業に優れ、各州で数人しか入学できません。家族で一人でもウェストポイント出身者がいれば、名誉とされます。もちろん、最終的平和は武力でなせるものではありませんが、「近道がない」ので、真の家庭というモデル家庭を立てるために、そのようにされていると解釈できます。

 

軍で奉仕することで、米国を守っているわけですが、米国というのは、世界の中でもユニークな国で、独立宣言には以下のようにあります。

 

「我々は、以下の事実を自明のことと信じる。すなわち、すべての人間は生まれながらにして平等で あり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられているという こと。こうした権利を確保するために、人々の間に政府が樹立され、政府は統治される者の合意に基づいて正当な権力を得る。」

 

これは、世界の多くの国々が、民族性や地域性により建国されて主権を持ったのに対して、人を理念の中で一つにする事で建国され主権を持つという前例となった、という事においてユニークで、世界に大きな影響を与えました。日本国憲法にもその影響は明確に見られます。

 

「第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

 

主権も国民にあると定められ、天皇は国の象徴となりました。

 

米国が第二次大戦の後、世界をリードする国になった時、米国が掲げる理念に対抗する理念が現れました。それが共産主義で、共産主義は国や民族を飲み込んで、米国を中心とする自由主義圏と対立し、日本はその対立の真っ只中にあるような状況が展開しました。20世紀は、イデオロギーの対立の時代でした。

 

ですから、文鮮明師が勝共の理念を持って運動を展開した時、その大切さに共感した人達も多くいました。米国に移住して40年ですが、まさに同じ釜の飯を食べた人達を、懐かしく思います。

 

(続く)