拓郎といえば、これまでも何度か書いたが、我々世代には音楽体験を語る上でなくてはならない大きな存在だった。

 1970年、プロテスト-フォークがまだ盛りの頃“超個人的な歌”で登場。当時のフォークファンから大ブーイングを浴びた。でも。反戦とか政治とかじゃなく、自分の感情を、誰もが持っている心の中のことを、あんなに率直にリアルに歌える人ってそれまでいなかった!字余りだらけの歌詞をメロディーに乗せる曲作りも画期的だった…。アルバムとしては「人間なんて」(1971)や「元気です。」(1972)をよく聴いたなあ。

 その後、他の歌手への曲提供、プロデューサーとしても大成していく。酒好きで女好きで・笑。そりゃあ紆余曲折だらけだったろうけど、大したものだと思う。結婚も3回してるしね・笑。(六文銭の四角佳子、美代ちゃんや森下愛子!)

 先日、ウチの婿が、父の日と誕生日のお祝いを兼ねてといって、拓郎の引退アルバム「ah‐面白かった」(2022年)のアナログ盤をプレゼントしてくれた。ジャケット内に引退のエッセイが掲載されているから…と。

 この婿。もとロッカーで・笑、今は勤務先の社長がやっている“拓郎バンド”のメンバーとして活躍しているとのことで、何度か拓郎の話をしたことがあった…。でも小生は正直言って、拓郎にはもうあまり関心はなかった。引退についても…。でも。アルバムを聴き、そのエッセイを読んで。あ~やっぱ、なかなかイイわ、拓郎らしい!と思った。

 1曲目の「ショルダーバッグの秘密」。ショルダーバッグに野球帽の高齢オヤジ達(笑)の歌を作ってくれるなんてウレシイ!「Contact」など他の曲も拓郎節全開だ。

 でも何よりも。引退アルバムに「ああ、面白かった」というタイトルが付けられる、そこがスゴイ!拓郎の一番イイトコロは、このポジティブさなんだと思う。みならわなくっちゃね!婿殿、有り難う。