前回は手すりの支柱を立てるところまででしたが、その後、手すりのチェーンを設置しました。チェーンはメタルリギング0.1号を使っています。

「手すりなんてエッチングを使えば楽して綺麗にできるじゃんw」との声が聞こえてきそうですが、個人的には支柱とチェーンの太さが同じというのがどうにも馴染めません。
自作の場合、支柱をきれいに整列させるのが非常に困難ですし、さらに2段のチェーンをきれいに張り回すのも相当根気が要ります。結果、クオリティはエッチングに比べて落ちると分かっていますが、先に述べた理由に加え「自分で作れるものは出来るだけ自分で作りたい」という考えなので、あえてこのように作っています。
同じ考えのもと、滑り止め甲板や12.7cm連装高角砲なども自作しますが、少なくとも高角砲は現時点で存在するあらゆるパーツよりも高いディテール表現で作れるのではないかと自惚れています(笑)ただしものすごく手間はかかりますが。

次に艦尾の爆雷兵装を作ります。
手元あったのはファインモールドの駆逐艦用アクセサリーセットで、これは竹製作時にも使いましたが、若干大きめな印象がありました。

かと言ってこのサイズのものをエッチングパーツ以上のディテールで自作する技術はありません。
悩んだ挙げ句、先人に意見を伺ったところ、海魂のエッチングなら適切なサイズではないかとの知見をいただきました。
早速購入。
早速組み立て。

奥の左がキットのパーツ、真ん中が海魂、右がファインモールドの爆雷装填台、手前左がキット、右が海魂のY砲です。
装填台については海魂に決定。しかしY砲はキットだと太すぎますし、海魂はペラペラで実感を損ないます。よってやむを得ず自作。

おおっ、かなりいい感じ♪
ちなみに爆雷投下軌条とその覆いは竹図面から拾った数値(軌条の幅など)と合致していたのでファインモールドを使いました。しかしこれまた微妙に大きいような…

ボートダビットはキットのパーツを使います。
松型のダビットは↓のように断面はいずれもH型をしています。

しかしパーツは断面が円形になっているので、デザインナイフで削りました。さすがにH型にはできませんが…。

次にメインマストの製作です。
キットのマストは若干太めな印象なので、プラ棒に置き換えます。
それにあたって実艦写真で太さなどを検証。

三本足のうち前1本の太さは艦橋窓枠の高さ(竹図面では0.84mm)の半分程度のようなので、0.4mmと推定しました。後ろ2本はそれより少し細いので0.3mmとします。
松型のマストはそれまでの艦で使われていた円柱ではなく角柱なので、角プラ棒を使って工作しますが、問題は0.4mm角棒が存在しないこと。手元にあるのは0.55mmと0.3mmです。結局、0.55mmを削って0.4mmにすることにしました。こうして所定の長さと太さにしたプラ棒3本の足をクラフトボンドで仮固定し、3本の接合点のみ流し込み接着剤で接着して三脚の形を整えます。

接着できたらそれを一旦取り外し、ヤードやステーなどを取り付け、再び艦へ設置します。さらに逆探や見張り台、梯子などを取り付けます。

2kw信号灯については、竹図面では三脚接合部すぐ下の段に表記があり、多くの実艦写真でもそれが確認できるので、今回の製作でもそこに設置しました。
しかし見張り台へつながる梯子は、図面だと旗甲板から信号灯までが三脚前面に、信号灯から見張り台までが三脚左舷側についていますが、楢の写真だと梯子がもう一段下で切り替わっています。
これは信号灯の位置が下げられていた可能性があります。桑についての資料がないため判然としませんが、楢が桑と同じ藤永田造船所で建造されたことから、梯子は楢と同様に設置し、信号灯は他艦と同様の位置としました。
この後、避雷針なども設置する予定ですが、それはまた後日。

艦橋右舷側には洋上給油などを行うための給油蛇管格納スペースが設けられています。ここで気になったのは蛇管の色。楢の写真を見る限り、探照灯管制器にかけられたキャンバスよりも白いような気がします。この写真から推定できる蛇管の太さは1/700で0.25mm程度と思われます。
また樫の写真からは蛇管格納のための棚が作られていたことが確認できます。


さらに次の写真からは蛇管の色が淡いグレーなのではないかと考えました。

近年の艦船の蛇管は黒ですが、旧海軍はどうだったのかご存じの方がいらしたら、ご教示いただければと思います。
なお桑の製作では、艦橋左舷側に被弾した表現を行うため、格納スペースの再現は見送ることにしました。今後、松型or橘型駆逐艦を作る際に検討したいと思います。