P『…ぁぁ……あがぁ…』




頭のてっぺんを氷で濡らしたパチモトはまるで河童の様でした。

何を勘違いしているのか、私を恨むような目つきで口を尖らせていた為、余計そのように見えたのかもしれません。

…普段ならそのまま河童フェイスに膝蹴りを入れてやる所ですが、今回は大切なお客様…大切に扱うふりくらいはしてやらねばなりません。






P『な…なんぼ…なにする~ん…』






スパゲッティ・コンボにお礼を言うのも忘れ、パチモトはあたかも自分が被害者であるかの様な口調でいちゃもんをつけてきやがりました。


接客業をされている方のご苦労が分かる様でございます。


しかし中にはこう言ったお客様のクレームに対し





『逆ギレするバカ店員』





がしばしば見受けられる昨今の世の中。

こう言ったクレーマーには『忘れさせてやること』が何よりの特効薬でございます。






私『ほらよ…』





私はポケットから『錠剤状態のドラッグ』(らしきもの)を取り出し、これ見よがしにテーブルに放り出してやりました。





P『なな、なんぼ!!ちょ…ちょっとG……や……ヤバイヨヤバイヨ!!





パチモトはお得意の出川哲朗チックな口調で


『ヤバイヨ!!』


を連呼しながら慌てふためき、全身で錠剤入り袋に覆い被さって、ドラッグ(らしきもの)を必死で隠しておりました。





まるで年貢を隠す農民のようです。





しかし、突然のドラッグ(らしきもの)の登場に、パチモトはつむじ火災の事などすっかり忘れてしまった様子。





…そう。





痴話ゲンカ等でレディがキレて泣きじゃくった際、


いきなり熱い抱擁→熱いキッス


と言った流れで自分の悪行を誤魔化す…というシーンが80年代のトレンディドラマに多かったのも、この原理でございます。





私『ああ~?なにがぁ~?』





ドラッグ(らしきもの)を抱きしめ、汗を噴き出し焦りまくるパチモトを尻目に、私はのんびりと煙草に火をつけて椅子にふんぞり返り、テーブルに足を投げ出しました。


いわゆる『悪徳金融スタイル』でございます。


このスタイルは相手が『お客様』でありながら『こっちが上』的上下関係を成立させる、ホスピタリティ溢れる接客スタイルでございます。





P『い…いえ…人が見てたらヤバイじゃ…ヤバイや~ん…』


私『え~。知らねぇよそんなの……で、もう帰っていいかなぁ~』





…私は引き続き山本☆KID風の口調にシフトして、より丁寧に接客いたしました。


そんな私の丁寧な『神の子風接客』にパチモトは目をパチクリさせ、





P『ジジジジジGぃぃぃ~…そりゃないやぁ~ん…』





と私の腕をさすりさすりと摺り寄ってきました。




…大変鬱陶しいのですがそれはいた仕方ございません。

パチモトはドラッグ(らしきもの)の使い方など知らないのですから。





私『えぇ~…おまえぇ~…キメ方ぁ~…知らないのぉ~?』


パ『…な、なんぼなんぼ!!!……で、ですなぁ』









(続)