きみがいるから vol.271 | sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

赤さんと緑くんによるソフトな萌キュンイチャコラですが、激しめなものも書いておりますので未成年の方、男性の方はご遠慮下さい。

コメントは基本的に未承認にしております。


↓前回はコチラ

。。。。。

S-side



俺は段々と駆ける速度が早くなっていって、自分の教室の階まで行く時にはもうほとんど走っていた。


階段の踊り場まで上がったところで頭上からのんきな声が聞こえた。


「おー、やっと来たかぁ」


息を切らしながら見上げると、そこには滝沢の姿が。


「滝沢……」

「やっと王子様の登場ですか?」

「王子様って…………あ、」

俺は階段を最後まで駆け上って滝沢の前に立つ。


「オマエまさか……今まで……」

「ああ、雅紀と一緒にいたけど?」


ひょうひょうとそう言ってのける滝沢の胸ぐらを思わず掴む。


「雅紀に……なにをした?」

「おいおい、俺が雅紀になにかした前提ではなしをするなよ」

そう言って滝沢が俺の手を掴んで胸から離す。


「だってオマエ……」



滝沢が雅紀のことを好きなことはわかってる。

そんな好きな相手を目の前にして、なにもしないわけが……。


「心配しなくても雅紀には何もしてねーってば」

「ほん、とか?」

「信用ねーな。俺って。
三年間、共に汗を流した相手によー」

「……恋愛に関してはオマエは信用してねー」

「わー、言っちゃったよ。
まぁ、あながち否定できないけど?」


俺が責めてるのにナゼか笑顔を崩さない滝沢。


「まぁ、マジで信用しろや。
オマエが女の子たちに囲まれてて雅紀が淋しい思いしてる時に相手してやってたんだぜ?」


感謝してほしいくらいだわ。


滝沢にそう言われて、アレを雅紀に見られてたのかとアセる。



「しかもカワイイ告白も聞けたしな」

「……はっ!?告白っ!?」

「ふふっ、そーだよ」

「だっ、誰が!!」

「雅紀に決まってんじゃん!
……あ、相手は俺じゃないけどね、残念ながら」

「え……?」

「まぁ、雅紀まだ教室にいるから行って本人に聞いたら?」

「あ、ああ……じゃあ、」

俺は教室の方に目をやる。


「櫻井」

「え?」

急いで教室に行こうと踵を返したところで滝沢に声をかけられる。


「なんだよ」

「アイツは……雅紀は、脆いぞ」

「え?」

「表面上は笑ってても、心の中は泣いてる。
ちゃんと……見とけよ」

「そんなこと……わかってるよ」

「雅紀を……ちゃんと捕まえとけよ。
ぜってー離すんじゃねーぞ」

「……んなことわかってるよ!」


思わず声を荒らげてしまった。



「そんなこと……わかってんだよ……」

「オマエが雅紀と離れてまで大阪に行くのを俺は反対はしない。……それが、雅紀のためだってわかってるから」

「…………」

「でも、ずっと一緒にいたオマエたちが二年とは言え離れるのは……きっと雅紀は壊れそうなほど辛いと思う」


わかってる。

……わかってんだよ。



「距離は離れてても、心はちゃんと繋がっとけよ。そうじゃないと……」

「……え?」

「俺がかっさらって行くからな」

「……なっ、」

「俺に取られないようにちゃんと捕まえとけよー」


はははっと笑いながら滝沢が階段を下りていく。



「なんだよ……」


なんで今日に限ってこんなに宣戦布告受けてんだ?俺……


「あ、雅紀……!」


早く雅紀の元へ行かないと。


俺はまた教室へ向かって走り出した。




つづく……


♡o。+..:*♡o。+..:*♡o。+..:*♡o。+..:*♡o。+..:*

あと残り二回!

、の前に明日は・・・