このままもっと vol.36 last | sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

赤さんと緑くんによるソフトな萌キュンイチャコラですが、激しめなものも書いておりますので未成年の方、男性の方はご遠慮下さい。

コメントは基本的に未承認にしております。




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。。。。。

A-side






夢を見ていた。


ものすごく幸せな気持ちで……


心が満たされていくような夢だった。



夢の中でオレはずっと笑ってて、


ずっと泣いていた。


でも、その涙は喜びと嬉しさから来る涙で……



オレは、ずっと泣きながら笑っていた。






ふと、目覚めた。




あ、夢、だったの……?




もしかして……全部、夢だったのかな?




一瞬、不安になったけど、自分の状況に気づいてホッと胸をなで下ろす。




オレの目の前では、翔ちゃんが気持ちよさそうに眠っている。



ふだんはあんなにカッコイイのに。



少しだけ口を開けて眠る翔ちゃんはなんだかムジャキでカワイイ。



そんな翔ちゃんの腕に抱かれて目覚める朝はとっても幸せで……。



これも夢なら覚めないでほしい。



本気でそう思った。




「夢じゃ……ない、よね?」


そーっと翔ちゃんの頬に触れる。



あったかい。



「ホンモノの翔ちゃんだ……」


翔ちゃんの頬を両手ではさみこみながら、また涙が滲み出てくる。



そのままじっと翔ちゃんを見つめていると、少し身じろぎして翔ちゃんがゆっくりと目を覚ました。



「…………また、泣いてる……」

「……え?」


とたんに引き寄せられて、隙間なく抱きしめられる。



「しょ、ちゃ……?」

「俺と再会してから……雅紀は泣いてばっかりだ……」


翔ちゃんはそう言うと、少し腕の力を弱めてオレの顔をのぞき込んできた。



「ゴメンな?泣かせてばっかりで……」

「そっ、そんなことない!!」

「……え?」

「これは……悲しくて泣いてんじゃないから……
嬉しくて、幸せすぎて、なんだよ?」

「雅紀……」

「オレこそ……ゴメンね?泣いてばっかりで……」


慌てて涙を拭う。



翔ちゃんはそんなオレの目頭にそっとキスを落としてくれる。



「謝んな。幸せだと思ってくれてるのなら俺も嬉しいから」

「翔ちゃん……
オレ、すっごくすっごく幸せだよ?
ありがとうね?」

「ん。オマエにはもっと、この先もずっと笑っていてほしい……」

「……うん。翔ちゃんがいれば、オレは笑顔になれる。翔ちゃんの隣で、ずっと……笑っていられる」


そう言って翔ちゃんを見つめていると、翔ちゃんは黙ってしまった。



「……翔ちゃん?」



オレがそう呟いたとたん、またガバッと抱きしめられた。



「ぅわっ……!」

「雅紀、カワイイ!もうたまんねー!」

「しょっ、翔ちゃん!?…………んっ、」


翔ちゃんに 唇を 塞がれて、そのまま 荒々しく 口内をかき回される。



「んっ、ん……しょ……!」

「まさき……」


ひとしきりキスをされると、翔ちゃんの 唇が 首すじに降りてきて熱が上がってくる。



そのまま 胸まで降りてきて、きつく 吸われる。



「んっ……」



何度も、何度も付けられたことのある痕。




今はもう、消えることなく増え続けている。



この痕が消えることはもう……ないと信じてる。



オレはまた、翔ちゃんに 抱かれながら幸せに包まれていく。





。。。。。



「ごっ、ごめん、雅紀っ!」

「ふふ、いいよ。まだそんなに焦る時間でもないから」


少しだけ、時間がなくなって翔ちゃんは慌てて仕事に行く準備をしている。


翔ちゃんが着替えてる間にオレは、簡単な朝ごはんと、お弁当を作る。



「翔ちゃん、着替えた?
朝ごはんできてるよ」

「え、やった!
手作りの朝ごはんとか、何年振りだろうー。
ありがとう、雅紀!」

「そんな感動されるほどたいしたもんじゃないけど……はい、コレも」


そう言ってテーブルにお弁当も置くと、もう翔ちゃんは感動のあまり号泣しそうな勢いだった。



「くぅぅーー!もう俺、幸せすぎて死ねる!」

「やっ、やだよ、翔ちゃん。死んじゃヤダ!」

「ふふっ、冗談だよ。こんなカワイイ嫁さん残して、新婚早々死んでたまるかって」


またそんな嬉しいことを言ってくれて頬が熱くなる。




翔ちゃんがご飯を食べている間にオレは、今日はどれにしようかな?って悩んでいた。



リビングに戻ると翔ちゃんはだいたい食べ終わっていた。



「翔ちゃん、こっち向いて?」

「ん?ああ……」



翔ちゃんに、心を込めてネクタイを結ぶ。



ずっと、してあげたかったこと。



ダンナ様のネクタイを結ぶなんて、そんな大したことじゃないかもしれないけど……


オレは、そうしてあげられることが嬉しくてたまんない。


翔ちゃんも嬉しそうに、オレがネクタイを結んでいく様子を見てくれてる。


「…はい、できた」

「ありがとう、雅紀」


翔ちゃんがオレの頭をそっと引き寄せて髪にキスをしてくれる。

そのあと、唇にもキスをくれる。



「ふふ、また止まんなくなっちゃうよ?」

「うー、名残惜しいけど……続きは帰ってきてからな?」

「はいはい、お仕事がんばってね?」



玄関で靴を履いた翔ちゃんにカバンを渡す。



「なるべく早く帰ってくるからな?」

「はーい、翔ちゃんの大好きなメニュー作って待ってるね?」

「……仕事終わったとたん、飛んで帰ってくる!」


そんなカワイイことを言ってくれる翔ちゃんを見送る。


「いってらっしゃい」

「おう、いってきます」

ドアを開けたまま、廊下を歩いていく翔ちゃんをずっと見つめる。



ふいに翔ちゃんが振り向いた。



「翔ちゃん!気をつけてね」

「おー!愛してるよー!」


廊下で大きな声でブンブン手を振りながらそんな事を言うから恥ずかしくなっちゃって。



「もう…翔ちゃんたら……」




でも、嬉しい。




いつもあの部屋で翔ちゃんを見送る時はこんな気持ちにはならなかったから。


もう二度と会わないと決めて、翔ちゃんの背中に「サヨナラ」した時とは違うから。



これからは、ずっと一緒だから……


毎日、オレの結んだネクタイを身につけてお仕事に行ってくれる。


そんな翔ちゃんを、「おかえりなさい」って出迎えてあげられる。




そんな、なんでもない日々に幸せを感じる。





「翔ちゃん、いってらっしゃーい!!
愛してるよー!」



翔ちゃんはオレの大声に体をビクッとさせると、また振り向いて笑顔で手を振ってくれた。





おしまい





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あとがきへ……