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S-side
それから、俺はまぁと会うために頻繁に予約を取った。
好きな人に会うのに、こういうカタチでしか会えないのがかなり淋しかったけどしょうがない。
まぁはどんなに口説いても俺だけのモノにはなってくれなかったし、プライベートの連絡先を教えてくれることもなかった。
ただ、会えた時は朝まで一緒にいてくれた。
俺の愛情に応えてくれた。
まぁからの「愛してる」って言葉はなかったけど、俺からの言葉にはいつも嬉しそうに微笑んでくれる。
その片隅でたまに見せる切なげな表情が気になったけど。
俺は、時間の許す限りまぁとの時間を優先するようになった。
同僚や友達付き合いもそこそこになり、家族も不思議に思っていたと思う。
それまでけっこう懐いてくれて、頻繁に飲みに行っていた妹の恋人の潤もおかしいと思って会う度に聞かれていた。
『ねー、翔さん!
また今夜もムリなの?』
電話越しに潤の不満げな声が聞こえてくる。
「あー、悪りぃ。今日は……ムリだな」
『んな事言って最近ほんっとに付き合い悪いよね!』
「ゴメンて。妹とでかけりゃいいじゃん」
『アイツとは話せないような事とかあんじゃん!仕事のこととかさー!翔さんに聞いて欲しかったのにー!』
「悪かったって。また時間作るから」
『ホントだよ!絶対だからね!』
やっと解放してくれて電話を切る。
ああやって懐いてくれるのはすごい嬉しい。
男同士で色んな話しをして、悩みを聞いてあげて、仕事のディスカッションもしたり。
妹の恋人である潤は真面目で情熱的で熱く、たまに俺も辟易するけど刺激になるいい存在だ。
それでも、まぁに会うことを優先する。
それだけ俺にとってまぁの存在は大きなものになっていた。
俺たちは男娼と客と言う関係だったけど、うまくいっていたと思う。
俺は必要以上にまぁのことを詮索したりしなかったし、もちろん行為にムリをさせた覚えもない。
ただ、いつもまぁの胸に俺の愛情の証である痕を付けるだけ。
「愛してる」と言いながらまぁにその気持ちをぶつけるように痕を残す。
でも別にその行為を拒否されたこともない。
キスも……あれから『翔さんだけだよ?』ってカワイイことを言って許してくれてる。
じゃあ、なんで……?
なんで、まぁは俺の前から姿を消した?
名前を聞いたから?
でも結局まぁは教えてはくれなかったし。
俺が「まぁ」って勝手に呼んでるだけだし。
ホントに「ま」がつく名前なのかどうかもわからないし。
あの時、嬉しそうにネクタイを結んでくれた時のまぁの表情……
幸せそうに見えたのは俺の気のせいだったのか……?
毎朝、俺が仕事に行く時に結んでくれたら……そんな関係になれたらどんなに幸せだろうか。
そう思ったのは俺だけだったんだろうか?
あの行為もまぁにとってはただの客にするサービスの一環だったんだろうか。
……なんで?
まぁに聞きたいことは山ほどある。
「……ちゃん?」
なんで、まぁ……。
「……ぃちゃん?」
会いたい、まぁ……。
「おにいちゃん!」
「……えっ?あ、ゴメン、なに?」
ふと、意識を戻して隣を見ると妹がふくれ面で俺を睨んでいた。
「もう!食事中になにをボーッとしてんのよ!
私、もうメイン料理食べちゃったよ!」
「あ……」
見ると、俺の皿はまだほとんど手付かずのまま、フォークとナイフだけを握りしめていただけだった。
「おにいちゃん、疲れてるの?
強引に誘っちゃって悪かったかなぁ?」
妹が心配そうに顔を覗き込んでくる。
「イヤ、違うよ。悪いな」
そう言って目の前の料理を慌てて食べ始める。
さっきよりは味がした。
食べ始めた俺に安堵したのか、妹も笑顔を取り戻して目の前の夜景に目をやりだした。
「潤は?いつ帰ってくるんだ?」
俺は妹に話しを振りながら日常へと頭を切り替えた。
つづく……
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やっと休み!!ひっさびさの休み!!
大雨降ってるけど!大雨警報出てるけど!
髪切ってくるじぇ~(ノ´▽`)ノ♪