Bitter sweet vol.3 | sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

赤さんと緑くんによるソフトな萌キュンイチャコラですが、激しめなものも書いておりますので未成年の方、男性の方はご遠慮下さい。

コメントは基本的に未承認にしております。



まだお見舞いはつづく……


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。。。。。




このカフェには、まー目当ての客はもちろんだが、普通に常連もいる。




俺の淹れるコーヒーが好きな常連が。


決してまーの笑顔だけで成り立ってる店じゃないから。





「おはようございます。
潤くん、まーくん」



常連のひとり、ニノが飄々と入ってきて、いつもの定位置のカウンター席に座りながら挨拶をする。



「おう、ニノ、おはよう」

「ニノちゃぁ~ん、おはよー。
今日も早いねー」

「早いんじゃなくて、徹夜明けなの。
今日が締切だからね。
潤くん特製のモーニング食べたらゲームして寝る」



そう言ってニノが手に持ってる書類の束をかざしてみせた。

このまま編集者に渡すんだろう。




「そうなんだぁ。ニノの新作、楽しみぃ~」

「ありがと、まーくん」



まーににっこり笑顔を見せて、ニノがコーヒーを一口飲む。


ニノ好みの苦ーいコーヒー。

そろそろ来るかと思って淹れといて良かった。



「んー、今日も目が覚めるくらい苦い」

「ふっ、それしか飲まねーくせに」



俺がそう言うと、無言で肩をすくめる。



「はい、ニノォ、今日は松本潤特製エッグベネックだよ~」

「エッグベネディクトでしょ、まーくん」

「こら、まー。名前間違えて説明すんな、バカ」

「あれぇ?違うかったぁ?
だって長いんだもん……」

「ニノだからいいようなもんの……」

「いいよいいよ、おいしいのには変わりないから」

「ふふっ、ごめんねぇ、ニノォ。
召し上がれ~」




相変わらず常連相手にはフワフワしてるヤツだ。





ニノを見ると眠そうな顔をしながらももりもりと食べてくれている。

ニノは基本的にはあまり食に興味がないらしい。


でも俺の作る料理は口に合うらしく、いつも気持ちいいくらいに完食してくれる。





ニノは有名な小説家だ。


学生の頃にきまぐれに書いた小説がいきなり賞を獲って、そのあとも書くたびに大ヒット。

何作か映画化やドラマ化もされて、今や推しも押されぬ売れっ子小説家ってヤツだ。


偶然にも俺たちと同じ歳なのにすごいもんだ。



本来はゲームが好きらしく、小説書いてるおかげで満足にゲームをすることができないといつもグチっている。


それでも小説の手は抜かないし、相変わらず売れ続けてるのだからたいしたもんだ。



頻繁に息抜きと称してここに来るんだけど、こうやって締切の日には、書き終えた小説の原稿と大好きなゲームを手に朝からフラッとやってきてはモーニングを食べたあと、ゆっくりコーヒーを飲みながらゲームを何時間かして帰って寝るらしい。



「ニノォ、今度はどんなおはなしなのぉ?」


少し店がヒマになったからか、まーがニノの隣にちょこんと腰掛けて話しかける。



「んー?言っちゃったらつまんないじゃん」


フォークとナイフで卵を口に運びながら横目でまーを見て微笑むニノ。



「えー、そんな言い方したら気になるじゃーん!
教えてよぉ、ニノォ!」

「えー、どうしよっかなぁ」


まーの舌っ足らずなオネダリと上目遣いにニヤニヤが止まらなくなったニノだけど、なぜかまーにはイジワルが度を越すらしくなかなか口を割らない。



「んふふ、そんなタダじゃ教えらんないなぁ」

「えー、じゃあどうしたら教えてくれんのぉ?」

「んー、じゃあとりあえずチューでも……」


ニノがそう言いかけたのを俺が止めようとした時、ドアベルがけたたましく店内に鳴り響いた。




「二宮さん!遅くなりました!」

「あ、もう来た……」


入ってきた人物を見て、ニノがガックリと肩を落とした。







つづく……