続・契約と言う名の…… vol.18 | sakurabaでいっぱい 〜SA妄想小説〜

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赤さんと緑くんによるソフトな萌キュンイチャコラですが、激しめなものも書いておりますので未成年の方、男性の方はご遠慮下さい。

コメントは基本的に未承認にしております。



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。。。。。

A-side






ブーッ、ブーッ、ブーッ




ズボンの後ろポケットに入れてあるスマホが突然鳴り出してビクッと体が跳ねた。


「あ……ゴメ、ッ」


僕は潤くんから少し体を離してスマホを取り出した。



「………………え?」


僕は画面に表示されてる名前が信じられなくて一瞬固まってしまった。



「……え?しょう、さん……?」



潤くんにもスマホの画面が目に入ったみたいでそう呟いて僕を見る。



しばらく迷ってたけど、ゆっくりと指を動かすと画面をそっとタップした。




「……はい……」



そう答えるも、電話の向こうの相手は何も言わない。



おかしいと思ってもう一度画面の名前を確かめるけど……やっぱり画面には『櫻井翔』と表示されてる。




「もしもし…………?」


通話は切れてないけど、返事もなくくぐもった音が聞こえるだけ。




「しょー、ちゃ……」

『……ん……』


微かに声が聞こえた。


「しょ、しょーちゃん!?」


僕は電話の向こうに叫んだけど、相変わらず返事はない。



『んん……あぃ、……』

「しょーちゃん!どうしたの!?ねぇっ!返事して!?」

「おい、まー。翔さんなのか?なんて?」

「わかんない……微かにうめき声みたいなのが聞こえるだけで、何も言ってくんない……」


僕はまた電話の向こうに意識を集中させた。



『うう……あい、ば……』


その時はっきりと、僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。


その瞬間、僕は立ち上がっていた。



「っ、まー!?」

「……ごめん、潤くん……行かなきゃ……」

「ちょ、待っ……!まー!」


潤くんが僕の腕を掴んだ。


「まー……翔さんのところに、行くのか?」

「ん……だって、しょーちゃんが、……」

「なんでだよ!あんなひでーことされてんのにまだ……っ!」


潤くんが悲しみと苛立ちで顔を歪ませる。



「僕も……諦めようかと思った……

でも、やっぱり……やっぱり、しょーちゃんが好きなの……」

「まー……」


僕の腕をつかむ潤くんの力が緩んだ。



「ごめんね、ごめんね……」


僕は潤くんに必死で謝りながら荷物を引っ掴んで潤くんのマンションを飛び出した。




。。。。。



タクシーがしょーちゃんのマンションの前で停まる。



「あっ、ありがとうございました!
あ、これ、お釣りいいです!」


急いでお金を払うと小走りでマンションのエントランスに入って、しょーちゃんの部屋番号のインターホンを鳴らす。



でも、出ない。




さっき、電話かけてきたのは家からじゃなかったのかな?



そう思いながら僕は自分のキーケースからしょーちゃんちのカギを取り出すと、それでオートロックのドアを開けた。




しょーちゃんが『いちいちカギ開けんのめんどうだから』と言って僕にくれた合鍵。



しょーちゃんはそんな気はなかったとしても、僕にとっては大事な、大切なカギ。




それを握りしめながら、僕はしょーちゃんの部屋に走った。




「しょーちゃん!?

……しょーちゃん!?」



玄関を開けて靴を脱ぎながら部屋の奥に向かってしょーちゃんを呼ぶ。



見たところ、リビングの電気が着いているからいると思うんだけど。



そう思いながらリビングに駆け込んだ。







つづく……