。。。。。
「あ、しょーちゃん。
ちょっと車停められる?」
「ん?ああ、どうした?」
俺は雅紀に言われて車を路肩に停めた。
「ホラ、見て見て。桜が咲いてる。
キレイだねー」
「ホントだな。もうやっと三分咲きってとこか?
今年は遅いからなー」
車のフロントガラスから覗き込むとほぼ一面に桜が見えた。
「クルマから下りるなよ。
もし見つかったらパニックだからな」
「うん、わかってる。
だから、ここから少しお花見して行こうよ」
「スタジオ入りする時間があるから少しだけな」
そう言って俺も車中から見える桜を愛でる事にした。
「キレイだねー……」
「うん……オマエの方がキレイだけどな」
「なっ、何言ってんの!バカしょーちゃん!」
雅紀の頬が咲いてる桜みたいに染まった。
「照れちゃって……カワイイヤツ……」
俺がそう言ってクスッと笑うと「もう!」と言ってそっぽ向いた。
「……あ、しょーちゃん、見て……」
「ん?何?」
雅紀が指さす方を見ると、真新しい制服を着た幼稚園児が数人、桜の前で写真を撮ってる。
「入園式……?」
「そうだね。みんなちっこくってカワイイー」
「ホントだな……俺たちもあんな頃あったんだなぁ……」
「しょーちゃんはその頃からモテモテだったんだろうね」
「オマエもモテモテだったんだろうな。
ただし、オトコに……」
「なっ……!そんな事ないし!
ちゃんとオンナノコにもモテてましたー!」
オンナノコに“も”……
やっぱりな……
雅紀はまた表の幼稚園児に目を向けてる。
「あーゆーの見てると子供、欲しくなるね……」
「そう、だな……」
「オレ、オトコノコがいいなー。
一緒にキャッチボールすんの」
「俺はオンナノコがいいな。
雅紀に似てカワイイ子」
「えぇ、ヤダよ」
いきなり雅紀がこっち向いて反論する。
「ええ!なんで!?」
「だってオンナノコなんてしょーちゃんのこと大好きになっちゃうじゃん!」
「いいじゃねーか!パパ好きのオンナノコなんてサイコーじゃねーか!」
「ダメだよ!『パパと結婚する!』とか言われてもオレ許可しないもん!」
そう言って今度はプイっと逆を向く。
「そんな事言ったらオトコだったら俺、ソイツと雅紀の取り合いになるじゃねーか。
なんで実の息子と雅紀取り合いしなきゃなんねーんだよ」
「えー、何言ってんの、しょーちゃん……」
「オマエもだろ……」
「………………」
「………………」
「じゃあ……」
「やっぱり……」
「「ふたりがいっか♡」」
俺たちは目と目を合わせて、手と手を絡めて、一瞬だけ唇を合わせて車を発進させた。
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おはようございます。
桜がキレイですね。
今日は長女の入学式なんです。
あいにくの雨ですがね……。