どうもぱちんこ特許チャンネルです。
皆さんは、「彼はとてもしたたかな人だよ」と聞いてどんなイメージを抱きますか?
ずる賢い人、でしょうか。
「したたか」を漢字で書くと「強か」となります。
つまり本来の意味は、
1 粘り強くて、他からの圧力になかなか屈しないさま。しぶといさま。
2 強く、しっかりしているさま。
3 強く勇猛であるさま。
といったポジティブな言葉です。
ただ、「しぶとい」とか「他からの圧力に屈しない」という様子から、他を寄せ付けない排他的な強さ(マイナスイメージ)のように見えてしまうのかもしれませんね。
――って、そもそも何の話をしていましたっけ?
そうそう、タイトルにある「三共のしたたかさ」についてでしたね。
これはもちろんポジティブな意味です。
その年その年を乗り切るだけの場当たり的な強さ(運の要素も含む)ではなく、様々な変化に対応できるしたたかさを身につける努力をしていますか?というのが本題です。
とは言え、具体例を示さないと単なる「三共万歳!」記事になってしまうので実例をひとつ。
■特許分野における三共の強かさ
※実際の数字とは異なります。
細かい説明は抜きにして、基本的に特許出願(新規)をすると1年半後に勝手に世間に公開されます。
上の表は、2021年の1年間で特許出願された件数(=ちょうど直近1年間で公開された件数)を表しています。
注意書きにあるようにこれはある程度近い数字にしつつ、わかりやすくするために多少加工を加えたものですが、ここで注目してもらいたいのは「内製率」です。
内製率も実際の数字とは異なりますが、ここでは「三共が突出して高い」とだけ理解してもらえれば十分です。
特許出願をする場合、基本的には『特許事務所』に出願書類の作成を依頼します。
<発掘~権利化までの基本的な流れ>
①アイデア発掘
👉開発者と打ち合せ
②出願準備
👉アイデアの整理、必要資料の作成
③出願書類の作成依頼
👉特許事務所(弁理士)にアイデアの説明
④出願書類の最終確認
👉原稿(明細書、図面)チェック
⑤出願手続き
👉出願完了
⑥審査請求手続き
👉審査請求(補正あり/なし)
⑦特許庁の審査
👉特許査定/拒絶理由通知
⑧拒絶理由通知に対する応答
👉特許事務所と方針の打ち合せ、補正書/意見書案の作成依頼
⑨特許庁の審査
👉特許査定/拒絶理由通知/拒絶査定
(特許査定の場合)
⑩登録料納付
👉お金を払わないと登録されない
⑪年金納付
👉お金を払わないと権利を維持できない
ザックリ書いただけなので間違っているところもあるかもしれませんが、特許講座ではないので中身は正直どうでもいいです。
ここで知っておいてほしかったのは、赤字で示した箇所は基本的に特許事務所への手数料(書類作成、手続き代行、成功報酬等)がかかるということ。
――それ自体は当たり前のことです。
弁護士であれ何であれ、士業の先生の時間を割いてもらっているわけですからタダなわけがありません。
ただ、この業界(遊技機業界)の歪な点のひとつとして、特許出願件数が業界規模以上に膨れ上がっている点が挙げられます。
まあそれぞれ理由があってその件数にしていると思うので今ココで出願件数について言及することはありませんが、
その「膨れ上がった出願件数×特許事務所に支払う手数料」を考えると、外部に流れていく金額はかなり大きいものとなります。
詳しくは説明しませんが、もしかすると10年前はそれでよかったのかもしれません。
「10億使おうが20億入ってくればプラスだ」みたいな計算が成り立っていたのならば、何百件、何千件と特許事務所に依頼しても何も問題ありません。
でもそれが年々シビアになっていった。
そして少なくとも三共はこのままではいけないと考え(たかどうかは中の人しか知り得ませんが)、「社内でできることは社内でやろう」となったんだと思います。
仮に特許出願1件あたり平均して100万円くらい特許事務所に支払っていたとすると、800件を内製すれば単純計算で8億円浮きます(社内の人件費除く)。
つまり上の表で言うと、三共とA社は同じ件数を出願しているように見えて、実は費用面で数億円の差が生じていることになります。
もちろん、「言うは易し」でそんな簡単に「じゃあ明日から内製にしまーす」と変更できるわけがありません。
文章を考えるのも図面を作成するのも自分たちで、となった時、やはり個々の能力アップは必須条件です。
内製はあくまでも手段のひとつでしかないので、それを選択することが最善かどうかはわかりませんが、数年前から徐々に内製率を上げていった三共は機械のヒットもあって昨年度は素晴らしい収益を叩き出しました。
三共はもうずっと前から同じセンターフレーム(ステージ部分とか)を使っていますよね?
特許分野に限らず、今のコストを下げるには個々がどのように成長していくべきかを考えてそれを実践し、その結果としてコストが削減されているように思います。
もちろん立場が違えば色々と思うところがあったり、言いたいことがあったりするのはわかります。
が、それはそれ、これはこれ。
他社の成功要因は必ず分析し、取り込める部分はいち早く取り込んだ方がいいです。
皆さんも、粘り強くて他からの圧力に屈しない強かさを身につけましょう。
今日はここまで。
それではまた。