パテントプール団体の存在
どうもぱちんこ特許チャンネルです。
皆さんもすでにご存じの通り、2023年3月1日に「株式会社西陣」が廃業を発表しました。
そこで急遽、「特許だけで食べていけるのか」というテーマでお話しようと思い、開かずの扉と化したノートPCをそっと開いた次第です。
――西陣・ソフィアと特許。
この2つがどう結びつくのかピンとこない方もいるかもしれませんが、西陣・・・というより開発側の企業である「ソフィア」は昔から特許取得に積極的でした。
ソフィアと西陣の関係性を知らない人は先にコチラをお読み下さい。(知っている人は特に読む必要はありません。)
長々と特許の歴史を話しても途中で飽きてしまうので、皆さんが興味がありそうなネタに絞って3回に分けてお話します。
①パテントプールの存在
👉パテントプール団体にお金が集まる仕組み
②メーカーの取り分
👉メーカーにはどれくらいのお金が入ってくるのか
③ソフィアはどうなのか
👉ソフィアは特許だけで食べていけるのか
当然ですが今からお話するのは「遊技機業界の場合」です。
タイトルを見てザワついている特許関係者の皆様もご安心下さい。
私は空気の読める男なので核心に迫る部分についてはうまいことアレしておきます。
――さて、予防線はこれくらいにしてそろそろ本題に入りましょうか。
パテントプール団体にお金が集まる仕組み
(1)パテントプール
各メーカーが保有する特許(パテント)を一箇所に集約(ためる=プール)し、それをお互い(または第三者)にライセンスする合意のことです。
(2)パテントプール団体
そのパテントプールの管理運営を行う団体のことで、遊技機の特許を扱うパテントプール団体は3つあります。
JAMP 👉ぱちんこの特許
PS特許 👉回胴の特許
日電特許 👉回胴の特許
最初は正式名称を書いていましたが正直わかりにくいし覚えにくい
せっかく略称があるんだから少なくともそっちだけは覚えてもらった方がいいだろうと、正式名称は削除しました。
(3)お金の流れ
パテントプール団体を介したお金の流れをザックリと図にするとこんな感じ。
特許権者(メーカー)
■■■↓ ↑■■■■■
実施料↓ ↑許諾料(分配)
■■■↓ ↑■■■■■
パテントプール団体
別に難しくも怪しくもありません。
他社(他者)特許を使いたかったらお金を払い、自社特許を使わせてあげたらお金をもらう、ということをパテントプール団体を介して行っているだけです。
パテントプール団体に「お金が集まる」と書いたので、「悪の組織!?」とか「秘密結社!?」的なイメージを持った方もいるかもしれませんが、そうではありません。
上に示した通り、「実施者」からお金を集めた後、許諾料として「権利者」に分配しているのでパテントプール団体にお金が集まるのは単なる通過点です。
メーカー各社は、
👉「他社特許を使わせてもらう立場=実施料を支払う側」であるとともに、
👉「自社特許を使わせてあげる立場=許諾料を受け取る側」でもあるわけです。
しかし、
既存メーカーでも特許を保有していないメーカーはありますし、これから新規参入しようとするところがあれば当然最初は特許を保有していないでしょう。
「特許を保有していない場合、実施料を支払うだけの一方通行となる」ということは意外と重要です。
テストに出るかもしれないので覚えておきましょう。
(4)実施料の支払い方法
例えば日電特許の場合、↓のような証紙があります。
これをパチスロ1台につき1枚貼ることによって「日電特許が取り扱うパテント」についての実施を許諾してもらうわけです。
この証紙が1枚「○○円」であり、これを購入することで実施料を支払う形になります。
例えば1枚「100円」だとすると、昨年はパチスロが約70万台くらい販売されたので、パテントプール団体に「7,000万円」入ってくる計算になります。
※※1枚あたりの金額も台数も適当。あくまでもイメージ※※
(5)まとめ
・遊技機業界にはパテントプール団体が3つある
👉覚えるべし
・パテントプール団体によって実施許諾の管理運営が行われる
👉各社個別にやるより圧倒的に楽
・特許を持っていなかったら実施料を支払うだけ
👉それでも個別に交渉するよりも圧倒的に楽だし安価で実施できるメリットはデカい
・1台あたり○○円の実施料
👉パテントプールに集まるお金≒各メーカーに分配されるお金は『販売台数』が大きく影響する(そしてそれは年々減っている)
以上、「パテントプール団体にお金が集まる仕組み」についてのザックリ説明でした。
もちろん各団体で細かい違いはありますし、支払うお金・入ってくるお金がこれだけというわけでもありません。
でもそんな細かい違いは今回のテーマの前ではそれほど重要ではなく、ひとまずザックリとした流れがイメージできるようになれば十分です。
今日はここまで。
それではまた。