正月営業も一段落し、少しばかりの連休を利用して行ってきた、4年ぶりの香港!
20代前半の社員旅行で連れて行ってもらって以来、「食」に対する人々の執着心やエネルギーに圧倒される香港は、しばしば訪れなければならぬ自分自身のパワーチャージスポット。その都度同行のメンバーは違えど、飲食店同業メンズ中心に構成され、中華粥、点心、飯もの、麺屋、海鮮酒家、夜食の飯屋まで「一日六食」を遂行してきた。ショッピングや観光などは目的外であり、「腹」を落ち着かせるための時間潰しでしかなかった。
しかし今回は、妻・ちえぼうとの二人旅。おととし結婚して以来初の海外旅行。結婚した2011年夏、まさに二人とも無職であり、時間はあるが収入がない、Fooオープンの予定はあるにせよ、仕事もしていない状況での「旅行」はなんとなく「後ろめたく」、なんとなく「してはいけない」もののように思えた。それ以前にまず遊びに行く精神状態になかったというべきか。人生はうまくできている。仕事が忙しく時間が限られているからこそ時間の有難みを感じ、遊びも充実する。・・・実感・・・。あれから2年、本当はすぐに行きたかったであろう新婚旅行、その話題でさえも封印させてきてしまった微かな心苦しさも正直あった。3日間という短時間ではあるが、思い切って行っちゃおう!と決めた理由はそんなことから。
今流行りの【LINE】で連絡を取り合っていた、元同僚で広州在住の片山先輩と香港で落ち合い、海鮮市場でお馴染みの西貢へ。まぁ、もはや観光地と化しているとは言え、膨大な数の生け簀から新鮮な海老や魚や貝を選び、調理法を決め、海風を感じながらビニール屋根が張られた広々テラスで食う料理はやっぱり「香港に来ましたね感」がある。外国人が築地市場でマグロ見学し、場外のチェーン店の回転寿司屋に並ぶのと同じ(笑)こうでないと食った気がしないってもん。ちえぼうが絶対食べたい!と繰り返していた【白灼蝦】(海老の湯引き)や、【清蒸石斑魚】(鮮魚ハタの姿蒸し熱々油かけ)はもちろん、巨大シャコや、つぶ貝、芥藍菜の炒めなど香港に来たら一度は食すべき料理をバッチこーい!と一気にオーダー。もちろん三人じゃあ食いきれない量だけどね。今まで散々お客様に説明しオススメしてきた料理を、初めて本場で食らうちえぼう、テンションMax!はしゃきすぎ。いい笑顔だ。それにしても、肌寒い1月の香港、しかもその海沿いでキャッキャッとビール大瓶を3人で11本。その結果、不肖ねもきち、冷たいビールの飲み過ぎで腹を壊すというまさかの展開。"新婚旅行"はこんな感じでスタートしたのだった。
二日目早朝、熱々の皮蛋粥をすすり、軽めに切り上げる。それもこれも今回の旅の目玉であるフォーシーズンズホテル『龍景軒』でのランチの為。あるお客様の助けを借り(ほぼ丸投げ状態ではあったが)、数週間前に予約を取っておいたのだ。前夜の痛飲をコロッと忘れ、またまたビールを飲んでしまう。テーブル担当女史の「何かお飲み物は?スパークリングウォーター?チャイニーズティー?もしくはビール?(←あ、全部英語でね)」との問いに、ビールと反応してしまう。これは、何かを選ばせる際に、【①と②、もしくは③】という場合、③が強く印象付けられるというフロアサービスマンのセールストークの基本、その教科書通りにそっくりそのまま乗せられてしまった格好。おぬし、なかなかやるな(笑)冗談はさておき、やはり、龍景軒、料理が美味しいのは当たり前として、とにかく、サービスが穏やかでスマート。街場の無愛想で雑で横柄な接客と照らし合わせれば、別の次元というか、もはや別国。本当に心地いい。「なんだぁ、中国人もやれば出来るんじゃん」。。。無邪気に珍言を吐くちえぼう。コラコラ、叱られるぞ。
今回特に印象深い料理を二つ。
雲呑酸辣羹(ワンタン入り酸味辛味とろみスープ) ツルっとした滑らかな薄皮に包まれたプリップリの海老ワンタンと、細切りにされた野菜と干し豆腐とが絡み合う。黒酢の香りと酸味、野菜の甘味、後からじわっと効いてくる辛味と胡椒のスパイス感、どれか一つが飛びぬけることない美味しさのバランスにちょっと驚いた。絶品。
咸魚鶏粒炒飯(鶏肉と塩漬け魚のチャーハン) メニューに無いので、お願いして作ってもらった。咸魚(ハムユイ)塩魚の塩梅が素晴らしい。しっかり塩が効いているのに、どんどん食べ進めてもクドくならずに、旨味がしっとりふんわり広がっていく感じ。そこにはシャキシャキのレタスが名脇役としてイイ働きをしているのだね。あ、当然だけどパラパラとパサパサは違うかんね。いやー、すぐにもう一回来たいレストラン。
その後は香港を東西南北にブラブラと観光がてら散策し、夜はオープントップバス(ガイド付き)にてのツアーに参加。「あの香港の看板がバーンってなってるところを走るバスに乗りたい!!」と熱望していたちえぼう。いまさらな感もあったねもきち。まあ、いいよと乗ってみたが、コレがなかなか面白し。日本語ガイドのオッサン@香港人のオヤジギャグ満載のしゃべりを適当に聞き流しながら楽しむ夜の街の風景。意外と知らなかった小さいネタやウンチクがチョイチョイ心をくすぐってくれる。こういうの悪くない。
香港版浅草仲見世通り「女人街」で適当に値切り遊びをしたり、ワインが飲みたいと何故かピッツェリアで飯喰ったり、さらに「あ!焼味食べてない!」ってことで満腹にも拘らずローストポークを買ってホテルに持ち帰ったり。みっちり満載のの一日を終える。もうすっかり二重あご。いつの間にかムクムクに浮腫んでいる様から「ムック」と呼ばれ・・・・チッ。舌打ちしながらも、皮がパリッパリに焼かれたローストポークを摘まむ右手と、ビールを流し込む左手の動きが止められない。やっぱ、んまいわー。
三日目最終日、歯ごたえのイイ極細香港麺を使ったワンタン麺で締めようとした朝食、まさかの柔らかい極太麺!煮えたうどんやんけ!あー、なるほどここ北京系の店だったね?どんまいどんまい・・・という事で、ハシゴ。リベンジワンタン麺。日本では朝飯にラーメン屋をハシゴする奴いない。(あ、一人いるな。べろべろに酔ってラーメン屋から牛丼屋に早朝ハシゴした知り合いが・・・)二軒目に移動中、ちえぼうがきっぱり一言。「私も極細ワンタン麺じゃないと〆になりませんね」。いいねぇ(笑)分かってきたねぇ(笑)いいぞぉ、いいぞぉ!っと、二人揃ってはち切れんばかりの腹をさすり、今回はこれで食べ納め。
ギリギリ前日まで「地球の歩き方」にふせんや赤ペンで印をつけたりアンダーラインを引き、こっそり真面目に予習していたちえぼう。その全ては体験させてあげられなかったけれど、その満足気な顔を見ると、ほぼ合格ラインには達したのではないかなぁ。。。
「また頑張って仕事して、来年も来ましょうね」
グッときた。帰国の機内でそう言ってくれた彼女のコトバはこれから一年の大きな糧となる。いい旅だった。
Android携帯からの投稿