自宅は築50年越えの空き家をフルリノベーション
インテリアと家づくりが学べる、一級建築士のブログ
先日、たまたまこんなランキングを目にしまして…
なんと全20都市の17都市で人口減とのことです。
なんとなく薄々分かっていたこととはいえ、こうして数字を出されるとショックですよね。(我が市は19位…)
政令指定都市でこれなので、他の地方都市はもっと厳しい状況が想定されます。
人口が減れば不動産価格の下落も免れないでしょう。
地方都市で新築を建てる最大のデメリットはここにあると思います。
住宅ローンを払い終える頃には人口減が進み、建物はおろか土地の価値も暴落いている可能性は決して低くないと思うのです。
一生そこに住み続ける!というのであればまだ良いのかもしれません。
しかし何かのきっかけで移住や家を手放すとなった時、果たして家にいくらの価値が残っているのか…
そして怖いことをもうひとつ言いますと、地盤改良の問題も無視できません。
我が県は地盤がとても悪く、新築する際には7割以上の確率で地盤改良が必要になります。
改良にも種類はいくつかあり、コンクリート杭(柱状改良)、鋼管杭、木杭などあるのですが、その中でも比較的多く採用されてきたのがコンクリート杭です。
地盤改良は建物の沈下を防ぎ、建物の価値を高めます。
しかし将来的には土地の価値を下落させる要因にも成りえるのです。
例えば数十年後に建物を解体して土地を売却しようとした時、地中に埋まっている杭も撤去する必要があるのです。(撤去しなければ売却価格から撤去費分が割り引かれる)
その撤去費用の見積もりを取った方に先日話を聞く機会がありまして、なんとコンクリート杭40本(長さ7m)を撤去するのに約500万円とのこと…
仮に建物の解体が300万円としましょうか、それに加えこの杭撤去費用です。
要するに土地自体に800万円の価値がなければ赤字になってしまうのです。
もちろん杭の種類によって撤去費用は大きく変わってくるのですが、コンクリート杭(柱状改良)はケタ違いに高いと言われています。(撤去不要の改良方法もある)
2000年の法改正以降、新築における地盤改良が急増しました。
さすがに築25年程度で住宅を解体することは少ないでしょう、しかし築50年にもなると徐々に増えてくるはずです。
そこでまた先ほどの2050年の人口減少問題に戻るのですが、
土地の価値下落に杭の撤去費が加わった時、大丈夫ですか?
という話になるのです。
ちょっと怖いことばかり書いてしまいましたが、新築戸建てを否定したり賃貸を推奨しているわけではありません。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、それらをしっかり理解して決断することが重要なのです。