一級建築士である私が設計した物件をはじめ、インテリアや家づくりについて情報発信しています。
また、築52年の中古住宅を購入しリノベした記録、日々の暮らしについても書いています。
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今から5年くらい前、その当時必死に心理学や行動経済学の本を読み漁ってた頃に書いたものです。
軽い気持ちで読んでくださいね。笑
長年住み続けたボロくて狭いアパートを抜け出し、やっと手に入れた庭付き一戸建て。
「これで子どもが騒いでも下の階の人にも気を使わなくても済み、休日は家族と庭でBBQが楽しめる!そんな楽しくて幸せな日々がこれからついに始まる!」
まさに夢のマイホームだ。
そして夢に描いてたとおりの楽しい暮らしは始まった。
しかし暮らし始めて3カ月くらいたった頃、少し様子が変わってきた。
あなたは静かな郊外の住宅地を選んだため、アパート暮らしの頃より通勤時間が30分余計にかかるようになっていた。
最初のうちは、「たかが30分くらい夢のマイホームのためなら!」と思っていたが、日に日にそれが苦痛になってきた。
通勤に費やす時間は以前に比べ往復プラス1時間だ。
1年間に通勤のために約240時間も失うことになった。
ちなみに人が感じる幸福感は平均3カ月しか続かないことが分かっている。
ハーバード大学の心理学者ダン・ギルバートが宝くじの当選者を対象に行った調査で、当選した時の幸福感が平均して3カ月で消えてしまうことをつきとめたのだ。
そして唯一の楽しみ、週末の庭でのBBQもご近所さんから煙や臭いを注意されてしまった。
「我が家の庭でしているのになぜ・・・」と、理不尽に思いながらもこれから長く続く近所付き合いを考えると、高級BBQセットは物置の奥にしまうしかなかった。
さらに35年の住宅ローンもあなたにストレスを与える。
月々の支払いはアパート暮らし時代とさほど変わらない。
しかしローンを返さなければならない、という心理的なストレスは知らずにあなたを追い込む。
「これが自分の望んでいた夢のマイホームなのか・・・」
家という物質的な幸福感を得る代わりに、あなたは多くの時間を失い新たにいくつものストレスを抱えるようになってしまった。
家を建てる前には今一度良く考えてほしい。
家を建てる本当の目的や、家を建てることによって生じる可能性があるストレスやネガティブな現象を。
家づくりを考え始めると期待と幸福感で盲目になりがちだ。
しかしそのようなことを事前に想定しておくことで、家づくりの失敗を減らせるはずである。