一級建築士である私が設計した物件をはじめ、インテリアや家づくりについて情報発信しています。
また、築52年の中古住宅を購入しリノベした記録、日々の暮らしについても書いています。
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何かと問題の多い二世帯住宅
完全分離型、玄関共有型、水まわり共有型など二世帯住宅のカタチは何通りもあります。
また、二世帯住宅はもめることが多いのも特徴ですね…
家づくりは夫婦間でさえ意見が合わないことが多いのに、そこにもう一世帯加わるのですから話がスムーズに進ことは稀です。
玄関も分ける完全分離型ならまだしも、屋内空間を共有する場合は何かと注意が必要です。
生活しやすい間取りの条件「ゾーニング」とは
今回紹介するのは水まわり(お風呂とトイレ)だけを共有とした二世帯住宅です。
その間取りがこちら。
向かって左側の白い範囲が子世帯スペース、水色が共有スペース、そして右側の黄色が親世帯スペースです。
二世帯住宅に限ったことではありませんが、建築設計の基本は「ゾーニング」です。
空間を用途ごとにおおまかに分け、そこから細かい設計をすることで生活しやすい間取りになるのです。
このお家はご覧のとおり共有スペースを境にして、各世帯の生活空間がはっきりと分けられています。
子世帯には二階があるのですが、それも親世帯の上階に配置しないようにしてあります。
そうすることで生活音の問題はかなり解消されます。
インテリアもゾーニングが大事
そしてインテリアに関しても各世帯で意見が割れるところ。
子世帯と親世帯では趣味嗜好が違うのは当然のことですからね。
ではまず玄関から(共有スペース)から。
子世帯・共有スペースは古材の壁やレトロなインテリアなど、いわゆるヴィンテージ系スタイルです、右のドアが親世帯の入り口になります。
親世帯のインテリアは可愛らしい北欧スタイルなのですが、共有スペースはどちらかのインテリアに合わせたほうがよいでしょう。
共有スペースに各世帯の趣味嗜好を織り交ぜると、まとまりのない残念な空間になってしまいます。
子世帯のLDKです。
出節の丸柱など、家具も含めかなり個性的な空間。
こちらでも詳しく紹介しています。
トイレにはドイツのrasch(ラッシュ)の壁紙。
個性的な柄が多いですがファンの多いメーカーです。
では続いて親世帯。
子世帯空間とはまるで真逆のインテリア。
ホワイトをベースとしたナチュラルな北欧スタイルです。
床材はパイン材のクリアオイル仕上げ、実は子世帯の床も同じパイン材なんです。
塗装によってこれだけの違いを出せるのがパイン材の良いところですね。
ダイニングテーブル置かずにカウンターで食事するスタイル。
家具が加わるとまた良い雰囲気になっていくでしょうね。
親世帯(1人)の広さは12.6帖+クローゼットです。
この中にキッチンや洗面、洗濯機、ベッドまで配置しています。
勾配天井にしたことで、圧迫感はかなり軽減されました。
将来的な親世帯スペースの使い方
ウッドデッキや庭はもちろん各世帯の共有スペースです。
どのような距離感で暮らすのがお互いにとって良いのか、事前に話し合っておくことが大切です。
そして二世帯住宅の最後の問題。
親世帯スペースの将来的な使い方です。
子世帯はこの先も何十年とこの家で暮らしますが、はたして親世帯はどうでしょうか。
場合によっては10年程度しか使わないなんてことも、可能性としてはあります。
その時に親世帯スペースをどのように活用するか、それも頭の片隅で考えておくことをオススメします。
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