実は私の会社も10年ほど前になりますが

某ローコスト系フランチャイズに加盟していたことがありました。

 

結局2~3年程度で見切りをつけて撤退しましたが…

 

「勇気ある撤退」という言葉をたまに耳にしますが、

 

 

そもそもなぜ撤退には勇気が必要なのでしょうか?

 

 

 

多くのフランチャイズ契約は多額の加盟金を支払って

講習会にも何度も参加して、たくさんの知識を頭に叩き込んでいきます。

つぎ込んだ資金と時間と労力が多ければ多いほど

撤退するときには決断のための勇気が必要になります。

 

 

もうだめだ、と心では分かっていても

「せっかく多額の加盟金を支払ったんだから・・・」

「ここまで時間をかけて勉強してきたんだから・・・」

このような思いがわいてきて、なかなか撤退の決断をできずに

ズルズルと何年も続けていくことになりがちです。

 

 

フランチャイズ契約に今後の希望があるのなら続けるべきです。

 

 

しかし「せっかくここまできたんだから・・・」という理由で続けるのは危険です。

 

 

これは埋没費用(サンクコスト)効果と呼ばれるもので

企画や事業などですでに支払った資金や費やした労力など

中止や撤退をしても戻ってこないものを指します。

 

 

よってフランチャイズを継続する理由が埋没費用に固執するあまり

事業に対する合理的な判断が出来なくなるのです。

 

 

この埋没費用効果は誰もが陥る可能性があります。

 

 

以前テレビのニュースでこのような場面を見かけました。

ちょうど株価下落と円高が進行している時期で

国会で安倍首相がアベノミクスの効果について野党から質問を受け

このようなやりとりがありました。

 

野党議員

「株価下落も円高も進んでいる!アベノミクスは失敗じゃないのか!」

 

安倍首相

「アベノミクスはまだ道半ばです!」

 

野党議員

「今すぐアベノミクスを止めるべきだ!」

 

安倍首相

「ここまで来て止めるんですか!?ここまで続けてきたんですよ!」

 

 

 

アベノミクスという経済政策が長期的な政策で、

まだ道半ばであるという理由なら問題はないのです。

 

しかし

「ここまで来て止めるんですか!?ここまで続けてきたんですよ!」

この発言(真意かどうかは分からないですが)はまさに埋没費用の罠

見事にかかっていると言えます。

 

アベノミクスを続けるかの合理的な判断材料は

そもそも効果的な政策なのかどうかであって

今まで費やした費用と労力を持って判断してはならないということです。

 

 

一国の首相ですら引っ掛かってしまう罠です。

特に感情的な性格の人ほど気をつけなければいけません。

 

 

 

 

フランチャイズそれ自体を否定する気は毛頭ありません。

 

 

なぜ物事の撤退には勇気が必要なのか、

その裏側にあるを知ることで合理的な決断が出来るようになるはずです。