「人類滅亡小説」 | りうりー的房間

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『人類滅亡小説』山田宗樹

微生物の変異と大量発生。
地球上の酸素を奪い人類は対抗の術を持たない。
終末感の支配する日々の中で、人々はどう残りの時間を過ごすのか。
実にタイムリーな小説でした。

三世代の時間を追うドラマでした。
閉塞感と恐怖と諦観と信仰と。
人がどう戦い、どうふるまい、どう不安と折り合い、どう運命を受け入れるか。
暴動やデマやネットリンチ、AI、食糧問題、政情不安、詐欺、宗教。
まさに今回のコロナウイルスにもたらされた日々に重なり、ページをめくる手が止まりませんでした。

エピローグは余計だった気がしますが(回収し過ぎか?)、人類が未知の敵に対してかくも無力であることへの警鐘とも感じられました。
面白かった。
この作者の作品は『百年法』で世界観を存分に楽しみましたが、SFにならない近未来の危機を実感をもって味わいました。