世界は意外に狭い。
ママ友達の友人(S)の体験談である。
怖い話が苦手な方は、
明るい時間にどうぞ。
今はもう取り壊されているが、10年以上前のことである。
実家の近くに
『○泉病院』という
潰れた病院があった。
私が物心ついた時には
すでに廃墟化していた。
敷地内は植物達の楽園になっていたし、
遠くからでなければ建物を確認することは出来なかった。
雰囲気、ヤバい。
何も知らない時でも、
横の道を通るのが怖かったことを覚えている。
S君は何も怖いものが無いお年頃。
悪ガキ共の大将。
いわばジャイアンである。
夏。
お年頃の若者達は、
肝試しにその○泉病院にお供を連れて入った。
立ち入り禁止の看板と
鉄柵は見えていても
彼らには意味をなさない。
あえていうならば、
挑戦状である。
扉をこじ開け、
中に入ったらしい。
中には
カルテ。
注射器。
手術用具。
営業していた時のまま。
一通り見学してから、
帰ることにした。
入った入り口から、
出られない。
まあ、お決まりのパターンである。
壊れた窓から出たらしいが、
窓は果たして
壊れていたのか。
壊して出たのか。
ちなみにS君。
同級生であった。
世界は狭い。
つづく