物の価値というものは
不思議である。
誰が決めているのか。
高校時の美術教員が
絵画の世界ではそこそこ
有名であった。
個展を開くと
殆どの絵が売れるらしかった。
個展前の美術準備室には
個展用の絵が
所狭しと並んでいたものである。
一枚を指差し、
どれぐらいの値段で
売れるものか
聞いてみたことがある。
『学割で10万でいいよ』
B5程の大きさである。
『…いらねー。
買うとか言って無いし。
出せても500円。』
心の中で呟いた。
彼が言うには、
不思議と
値段の高いものから
売れていくらしい。
同じサイズ、
同じ出来上がりのものを
値段を変えておくと、
『やはりこちらの方が
味があっていい。』
とかなんとか
言うらしい。
描いた本人にも
分からない、その味。
私には、五百円。
買う人には、ン十万円。
物の価値なんてのは、
結局のところ
自分が決めてるのだ。
洋服、靴、鞄。
購入する人がいて
初めて価値が決まる。
値札が付いていても、
売れなければ
ただの飾り物である。
…もうすぐクリスマス。
その飾り物、下さい。