「斜陽族」という言葉を生んだほど、たくさんの人に読まれた本だ。
「斜陽族」とは、
第二次世界大戦後、世の中の急激な変化によって没落した上流階級の
人々。没落階級。
『デジタル大辞泉』より
太宰治は、青森県の大地主の6男だったそうだ。
自分自身の体験や感じたことが、作品に色濃く反映されているようだ。
前回読んだ『人間失格』は、自伝的小説とも言われているそうだ。
短編であるのと、話の進め方の巧さのせいか、
私でさえ、一気に読み終えることができた。
ただ、上流解級の人たちのことは、想像しようとしてもとても難しく、
登場人物に感情移入することはなかった。
ただ、一つ分かるとしたら
下から上へ行くのは、いいが、
上から下へ落ちるのは、とても難しいということだ。
ふと、
社会の先生の話を思い出した。
先生:農民一揆は、どうして起こったか。
学生:年貢の取り立てが厳しかったから。
先生:確かにそうだね。でも、激しい一揆が起こったのは、
年貢の取り立てがゆるくなったあと、
再び、厳しい取り立てが行われた時なんだ。
学生:なーるほど!
まあ、先生がこの通りに話したかどうかは定かではないが、
なんか、すごく納得した話だった。
人間一度いい思いをすると、それよりも下のレベルに戻ることは
ほぼ無理、精神的にとても難しいと思う。
自分の周りの全ての人たちのレベルが落ちた場合はともかく
自分だけがそうなった場合は、特に受け入れられないのではないか。
上流階級がどんなものかはわからない。
でも、何不自由なく暮らしていた人たちが、
いきなり、これはダメ、あれはダメ
お金がないから、我慢して
と言われても、
頭で分かっていても、体が、受け入れられないのだろう。
『斜陽』に出てくる、主人公かず子のおとうと直治も、
上流階級には嫌気がさしていて、そこに馴染めない。
でも、上祐階級以外の人とも馴染めない。
体が、習慣が、上流階級の人になっているから
このどちらにも受け入れられないという焦燥感が
彼を破滅へと向かわせる。
なんでそこまで・・・というところまで
まあ、一般庶民の私には、理解を超える行動ですね

読み終わったときは、
理解できないにもかかわらす、
なんか少し退廃的な感じになりました。
うーん、変に影響を受けるタイプなので
