人生とは、実に儚い。
すっかり年老いた母や叔母を見て、
ふと思う。
昔は強い母だった。
何度も腕相撲をして、
勝てなかった。
いつしか母からは、
そんな力強さは消え失せ、
歩くのも精一杯の、
立派な老婆になっている。
僕たちはいつも「日常」を生きている。
いつもと変わらない風景の中で、
いつも通りの時間が過ぎていく。
でも、少し時間をおいて、
その日々を俯瞰してみると、
簡単には変わらないはずだったものが、
大きく変わっていることに気付く。
親、子供、仕事、、
決して粗末にしてきたつもりはないけれど、
「いつでも会えるからいいや」
「今日じゃなくてもいいや」
「いつか、そのうちでいいや」
と思っていたことは、
実は日常を繰り返しながら、
その形を失ってきたのだとわかる。
雑に扱ったり、
大切にしなかったり、
これくらいいいだろうと考えたり、
突如、別れが訪れるまで、
僕たちは、
日常の儚さには気づかない。
それが自分にとって、
どれほど大切なものだったのかを、
それを失う時まで、
その穴を体感するまで、
僕たちは気づかないのだ。
僕は、
そんな儚い日常を、
どれだけ大切にしてきただろうか?
病床で最期を迎える時、
そこにどんな日常が残っているのだろうか?
今日、ここにある日常は、
その瞬間も、僕の傍らにあるのだろうか?
恐らく、
多くのことが変わっているだろう。
目をそらしているけれど、
実は気づいている。
永遠がないことはわかっている。
だからこそ、
今の当たり前に感謝して、
このひと時の喜びを心底味わってみる。
儚いけれど、
かけがえのない日常の形が、
きっと、もっと見えてくるはずだ。
今日もまた、日常が過ぎていく。
母も僕も、一日歳をとって、
また明日に向かって生きていく。
永遠には続かないこの日々が、
いかに大切なものなのかを、
今日もしっかりと感じていきたい。
オカン

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