「私、将来どうなっていくんでしょう?
このままじゃいけないって思うんです。
でも、何をどうすればいいのかわからなくて・・・」
なんとも不安そうな顔をして、下を向いている。
会社帰りなんだろう。
きれいな格好をしていて、一見、華やかなOLさんだ。
何をどうすればいいのかわからないって、
この方は、まず、どうなりたいのかな・・・?
そんなことを思いながら、耳を傾けていた。
僕が主催する起業や自立のセミナーは、
そんな女性がたくさんやってくる。
僕は一生懸命、ひとつの事実を伝える。
たくさんの人が、
同じように悩んだ経験があり、
そして、僕の周りの人は、
とっても輝いていると。
彼女も一回、皆に会ってみればいいのにな。
そんなことを思っていた。
「あ、すみません。
こんな相談をしても、ダメですよね・・・」
彼女は突然、お詫びの言葉を発し、
また下を向いた。
「いえ、いいんですよ。
何でも話してくださいね。
今日のお仕事はどうでしたか?」
僕は、そんな言葉で返した。
彼女は押し黙ったままだ。
いろいろなことが、
予定通りに、望むように、進まないのだろうか。
それが、何だかわからないけれど、
モヤモヤして、辛いのだろうか。
あの日の自分みたいだな・・・
心の中で、僕はつぶやいた。
もう、何年も前になる。
僕も同じように、このままでいいのかどうか、
この先どうなってしまうのか、モヤモヤと悩んでいた。
もっとがんばらなきゃ。
少しは認めてもらいたい。
もっと仲良くしてもらいたい。
いつまでも馴染めない組織で、
もがいていた記憶。
でもホンネは、
自分はそれなりに頑張ってきたし、
今日も頑張っているし、
お客様も喜んでくださっているはず。
そんな風に思っていた。
労いの言葉をかけてもらった記憶は殆どなく、
お前なんか!
みたいなセリフばかりが脳裏に焼きついている。
夜中に、よく涙がでた。いい年こいて。
やがて、
何をしたいのかもわからなくなり、
何が正解なのかもわからなくなり、
会社の目標は知っていても、
自分の夢も、何を選べば満足できるのかも、
自分自身の気持ちさえも、わからなくなっていた。
どんどん自信がなくなり、将来も不安になった。
もしかすると、この女性も、
状況は同じではないだろうけれど、
気持ちは、あの頃の僕と
同じ部分があるのかもしれない。
思いきって、言ってみた。
「もっと、楽になっていいよ。」
彼女の目に、涙が溢れてきた。
もう、抑えられなかったのだろう。
「何がしたいのかなんて、
今決めなくてもいいし、
皆に「いいね」って言われる必要もないよ。」
当時、僕が言われたことを、
そのまま伝えた。
伝わったかどうか、わからない。
ただ、あの日の僕自身に伝える言葉かのように、
ストレートに言った。
悩んでいいし、
苦しくってもいいし、
落ち込んだらいいし。
やりたいことが見つかったらやればいいし、
もっと正直でいていいし、
立派じゃなくてもいいし、
そんな風に思います、と。
誰だって迷うし、
ネガティブになっちゃう時がある。
それでいいと思う。
僕は、そんな人も、自分自身も、
積極的に認めていこうと思う。
そして、どうか、その女性が、
いつか、本当の目標に、出逢えますように。