「ミカン箱」というものをご存じだろうか。いや哲学的な質問ではない、ミカンを収めるための段ボールを見たことがあると思う。
ミカン箱は便利だ。軽くてそれなりに丈夫、風を通したりしないし、用が済めば簡単に潰して捨てることができる。
用途もそのまま箱として用いるだけでなく、薄い1枚にして隙間を埋めるのに使ったり、あえて潰したまま窓際において断熱材なんて使い方もあったりする(効果が高いとは言ってない)。
だが箱以外で最もポピュラーな用途と言えば、逆さに置いて机として用いることだろう。勿論本物の机と比べれば強度は落ちるが、用意、片付けの簡単さは多くの方が経験されたはずだ。
だがこのミカン箱机にはとある秘密がある―――
―――――防衛戦終了後、祝勝会の席にて―――――
第3基地でヒューナルを撃退したアークス側は、勢いのまま一気にダーカーを押し返し勝利を収めた。未曽有の危機から生還した反動は大きい。アークス達は戦いの疲れも忘れ、祝勝会を会場であるにゃる庵へと足取り軽く向かっていった。どう考えても18未満が混ざっているが、司令官2人が保護者として同伴することで丸く収まった。
にゃる「ようこそにゃる庵へ!この度はオラクル存亡の危機を救った英雄達をもてなすため、腕に一層の寄りをかけさせていただきました!!」
四季「こちらはフランカ'sカフェよりかっぱらって譲っていただきました特上森林マグロのお刺身でございます、正直何が通常と違うのかは分かりませんが。こちらは皆様があくせく拠点を守ってくださっている間に私がマイ!ラブ!!旦那様!!!と優雅に取ってきた採掘場跡ウナギのかば焼きでございまs・・・いたたっ、箸で突っつくのはやめてください~!」
暗黒汚神女将のにゃるのあいさつに続き、従業員の四季が料理を運び込み、慇懃無礼かつ一言余計丁寧に料理について説明していく。アークスのテンションは早くも最高潮、あとはこのビッグウェーブを乾杯の音頭で解放するだけという様子を、少し離れたところで見つめる5人がいた。
イデ「・・・すずさん、これは」
蓮牙「一体全体」
シンマイ「どういう」
rain「ことなの」
マリー「ですかぁ?」
すず「見りゃわかるでしょ、ミカン箱机だよ。ここで食事を食べてもらうからね。席を立つのは生理現象を除き全面禁止、あと席を立つときには監視もつけるよ」
イデ「ちょっと待ってください!私達が何をしたというんですか!??」
すず「・・・撤退命令の無視、無許可での拠点外の活動、戦場への私物(カメラ)の持ち込み及びその幇助etc・・・これだけ命令、規律に違反しておいて何言ってるの?祝賀会に参加できるだけありがたいと思ってもらえる?」
普段ぴょこぴょこと可愛らしく動くすずの猫耳は、今やピンと天に向かって鋭く伸び、不機嫌さを隠そうともしない。
すず「と に か く ・・・この場では私の命令に従うこと、いい?」
イデ一座「「はい・・・」」
すずのあまりの迫力に押され、イデ一座は終始静かに食事に舌鼓を打ったという。
―――あまり使われることはないがこれがミカン箱机の秘密の機能、懲罰である。
―――――
あ と が き
主人公の勝利宣言等を全てすっ飛ばして祝勝会とかいうプチ2年後。
最終回はこんな風に何個かに分けて、登場人物それぞれの祝勝会の様子を切り取っていきたいと思います。誰が誰と組むかは私の権限ですのであしからず←
最後まですずさんの言うことを聞かなかったイデさん一座にすずさんから怒りのペナルティ、MIKANBAKOがさく裂します。お話自体は非常に短いです・・・でもこれくらいの方が書いてて楽ですし長い目で見れば楽しいかもしれない(今更)