雪雛「ビブラスユガの沈黙を確認!」

アイス「ただし僕らのAISの稼働時間も残りわずかです!」

 

深紫華「雪雛さんは一旦AISを降りて正結晶の回収をお願いします。トンテキさん、雪雛さんの後を継いでAISで出撃してください。更に2名、AISの準備ができ次第出撃してもらいます」

アークスA&B「了解!」

 

最初のAISが消耗させたビブラスユガにAISを引き継いだ雪雛がとどめを刺す。が、まだ深紫華の表情は晴れない。

 

ヒューナルに対しテルーとたつひとの駆る2機のAISが猛攻をかける。

テルーがバルカンで牽制しつつブーストで背後に回り込み、ヒューナルが追いかけようと向きを変えた瞬間にたつひとがフォトンラッシュを叩き込む。

 

ヒューナル「・・・所詮は決まった動きしかできん傀儡だな、愚鈍!!

 

が、死角だったはずの場所にヒューナルの腕が振られフォトンラッシュの軌道がずらされる。追撃のグレネードがテルーから放たれるが、これも追尾しきれないほど急激に距離を詰めることで回避されてしまう。

 

AISが再びブーストを吹かしたのを見てヒューナルはぼやく。

 

ヒューナル「まだこの傀儡の相手をせねばならんのか・・・。先の男――グリンダのような我が身を顧みず闘う者はもうおらんと見える」

 

テルーにとっては超ド級の爆弾だったが。

 

テルー「・・・え?さっきキッチリ時間を稼いで無事に撤退したって通信が」

ヒューナル「あれほどの戦闘狂が逃げると思うか?その身が自らの力に食い破られるまで闘っておったぞ」

深紫華「テルーさん!グリンダさんは無事です、耳を貸しては」

テルー「グリ師匠が・・・コイノ、セイ

 

ズッ・・・

 

テルーの思考が真っ黒な爆炎を噴き上げ、AISを赤黒い瘴気が侵食し始める。

 

テルー「・・・裂く」

 

一言の後、赤黒い残像を糸引きつつヒューナルに接近しブレードを振るう。通常ならば右からの横薙ぎから始まる斬撃だが、ダーカー因子で関節部を直接制御することで、本来プリセットされていないはずの真下からの切り上げを繰り出す。今度は勢いを利用して1回転して左からの薙ぎ。即座にバックステップしつつグレネードを発射し

 

深紫華「これ、もうAISの反応じゃない・・・!」

たつひと「どうします?私では彼女に届くほどの言葉はかけられません」

深紫華「今のところ敵対する反応ではありませんので、ひとまず距離を取って様子を観察してください。もうすぐ代わりの2機も到着しまs」

テルー「深紫華さん、私に考えがあります」

深紫華「はい・・・ってテルーさん何で喋ってるんですか!?

テルー「何でも糞もありませんよ、別に暴走してるわけでもなし」

深紫華「鏡を見てください、どう見てもAISを侵食して暴走してるようにしか見えません」

テルー「大丈夫です、ダーカー因子を流し込んだだけですから問題はありません」

深紫華「( ゚-゚)( ゚ロ゚)(( ロ゚)゚((( ロ)~゚ ゚」

 

フォトンを扱う武装にダーカー因子を流し込んで問題が無いわけはないだろう、そもそもあの暴走間近みたいな片言は何だったのかと深紫華が突っ込む前に、ヒューナルと切り結びつつテルーが先回りして答える。

 

テルー「感情が昂ったときにしかこれだけの量は出せませんが・・・理性の制御はちゃんとできますからご安心を。で、作戦ですが」

すず「ダメだよ。グリさんのを見た後ならなおさらね」

 

それをすずがさらに遮る。

 

すず「グリさんの容態をアザリアさんから聞いたから一応言っとくね。ダーカー因子の度重なる作用による内臓器官へのダメージ、人体の強度を超えた挙動による筋肉の断裂多数。正直何で生きてるのか分からないレベルだよ。そんな危険な技術の使用は認めない」

テルー「それはグリ師匠の耐性が低いせいです、それにAISなら骨格は関係ありません!」

すず「テルーさんの扱う量がグリさんくらいだったらまだ許したけど、いくら何でも今の量は多すぎるよ。既にバイタル反応が変化してる。自覚症状はまだないかもしれないけど、このままじゃグリさんと同じことになる」

 

テルーの反論にもすずは動じず、さらにテルーの考えを見透かす。

 

すず「恐らくそのAISでヒューナルと渡り合う考えなんだろうけど、甘いよ。いくら強くても単騎で短時間で倒すのは不可能だって、グリさんが証明してくれたからね」

テルー「・・・分かりました」

 

すずの理屈にテルーも折れざるを得ず、ダーカー因子の濃度を自身の耐性で抑えきれる程度まで下げる。

 

深紫華「・・・では、作戦を変更します。たつひとさんはAISを降りて正結晶回収、およびダーカー兵器の処理を。テルーさんは侵食強化されたAIS・・・AISエクソーダとでも呼びましょうか・・・でヒューナルと直接対峙。新たに加わる2機+トンテキさんで援護射撃を。その他の方もAISが準備でき次第出撃、一気にヒューナルを打倒してください」

 

深紫華が話を総合し、テルーの覚醒も考慮して指示を出す。

 

一同「了解!」

テルー「援護射撃は絶対に私より前にでないこと。邪魔した人ごと叩き斬るからね」

トンテキ「何この娘コワイ」

すず「グリさんの弟子だから」

トンテキ「あっ(´゜察゜`) 分かりました気を付けます」

深紫華「あの、テルーさんにお願いが」

テルー「何です?」

深紫華「できる限りヒューナルの視界をふさぎ、援護射撃が当たるようにしてください。私の考えではそちらの方がテルーさんが純粋に格闘するより勝率は上です」

テルー「しょうがないにゃあ・・・いいよ

深紫華「その返答はやめてください、何だか周囲の視線が刺さります」

rain「一体何をお願いしてんだろ・・・」

シンマイ「相手女だよな?まさかそんな」

アルアス「呼ばれた気がした」

深紫華「すみませんがホモは帰ってください。あ、先の2人はそこに正座です」

 

援護のAISが3機到着し、テルーの後ろからバルカンとグレネードを乱射する。テルーはできる限りヒューナルに接近して視界をふさぎ、弾幕を着弾直前までヒューナルの目に映らないよう心掛ける。

流石のヒューナルも見えない攻撃は回避できず、じりじりと外殻を削られていく。さらに増援のAISが1機到着し、ヒューナルを一気に攻めたてる。テルーの攻撃も一層多彩になり、ブレードを囮にして拳で攻撃したりとヒューナルの防御を突き崩す。

撃退も時間の問題と思われたとき

 

ヒューナル「傀儡が群れおって・・・ウオオアアアア!!!!」

 

ヒューナルが咆哮し、テルーのAISが弾き飛ばされる。技でも何でもない、純粋に瘴気の塊をぶつけただけだ。さらに両の拳を合わせて頭上に振りかぶり、周囲をまとめて吹き飛ばそうとビッグインパクトの構えを取る。

だが、アークスの表情に焦りはない。

 

テルー「ようやく足を止めたわね」

深紫華「今です、全機ブラスター発射ッ!!」

 

キュィイン ゴゴゴゴゴ・・・

 

深紫華の号令で、一斉にAISがフォトンブラスターを発射する。「ヒューナルは不利になるとビッグインパクトで逆転を狙うために足を止める」という読みは見事的中、無防備なコアにAISの全エネルギーをかけて放たれた光線が次々と吸い込まれ、明け方の空を昼間よりも明るく染め上げる。

 

ヒューナル「グッ・・・傀儡といえど、侮りがたしというところか」

 

やがて光と音が収まると、上半身が半分ほど焼け溶けたヒューナルがなお喋る。その体からは未だに瘴気が溢れ出ており、命を削り切るには至っていないことを示していた。

 

テルー「はぁっ、はぁっ・・・止め、を・・・あぅ」

 

AISから降りたテルーは荒い息を吐きつつヒューナルに止めを刺そうとするが、数歩進んだだけでへたり込んでしまう。その他の隊員もエネルギーの切れたAISから降り、その場でヒューナルをにらむのが精一杯だ。

 

深紫華「ヒューナルへの甚大なダメージを確認しました。テルーさんは1度撤退し治療を。他の皆さんは手薄になっている拠点の防衛をお願いします」

テルー「また再生されたらもう勝ち目が」

深紫華「大丈夫、手は打ってあります。AISさん!」

 

言葉と同時によれよれのテルーのもとへ、最後の増援がやってくる。

 

雪雛「了解です(突っ込めないからって!突っ込めないからって!!)

アイス「ブラスター行くよ雛ちゃん!(後で深紫華さんはホモだって広めてやる!)

雪雛「えっと、照準の合わせ方は・・・」

アイス「落ち着いて雛ちゃん」

雪雛「ええーい、これなら絶対当たるでしょう!!

アイス「」

ヒューナル「こんな奴を最後に据えるとは・・・指揮官も肝が据わっておるな」

 

AISの駆るアイス雪雛の駆るAISがヒューナルへと接近し、ブラスターの銃口をまさに再生しようとしているヒューナル(何故か指揮官の度胸を高評価)に押し付けてブラスターを発射する。

 

ヒューナル「グォォァアアアアア・・・!!フハハ、良き闘争だった、ぞ・・・」

 

全身をくまなくフォトンで焼かれてどうやって声を発したか、ヒューナルは最後の一言と共に消え去る。

 

深紫華「ヒューナル、撤退を確認!あとは雑魚だけです・・・終わりにしましょう」

一同「「「うおおお――――!!!!」」」

 

 

 

 

箱舟はついに怪物を越え、世明けを迎える。

 

 

 

 

 

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あ と が き

 

グ ダ っ た