―――――時刻は数時間前、第1基地での戦いの最中、第3基地にて―――――

 

トンテキ「はい注目~!これがアークスの新型兵器『AIS』です( ゜艸゜)」

 

 

トンテキの指差す先には、高さが軽く5mはあるだろう巨大なロボットが立っており、その中からたつひとの声が聞こえてくる。

 

たつひと「AISには様々な兵器が搭載されています。私が実際に操作し、トンテキさんが兵器の機能、コックピット内での操作を解説していきます」

トンテキ「まず、AISの動力はフォトンを充填したバッテリーです。今は拠点に繋いでありますから活動可能時間は無制限ですが・・・もしフォトンの供給が断たれた場合、活動可能時間は20分間です。再出撃のためには膨大な量のフォトンを充電しなければなりません」

たつひと「10分間しか働けないからと言って、決して侮らないように。圧倒的な火力と機動力を併せ持つのがAISです。限られた時間の中でキッチリ動かせるようになりましょう」

予備戦力一同「はいっ!」

 

一同は場所を移し、「AIS兵器演習場」と名のついた場所へと向かう。トンテキがコックピット内の映像を全員に見せながら機能について解説する。

 

トンテキ「では基本の基本から。たつひとさん、バルカンをお願いします」

たつひと「了解。バルカン発射」

 

パラララララ

 

小気味よい音が響き、AISの持つ機銃から弾丸が撃ちだされ的を抉る。機銃とはいえAISのもつ特大サイズ、威力もかなりありそうだ。

 

トンテキ「これだけでも小型ダーカーならば十分に殲滅できます。続いて、ブースト移動」

たつひと「ブーストによる高機動は非常に重要です、これも必ずマスターしてください」

 

プシュッ ギュンッ

 

AISのブースターが輝き、AISが急加速して20mほどを一瞬で移動する。グレンテッセンも裸足で逃げ出す恐ろしい移動速度、生身ならば風圧や横Gに耐えられないだろう。

 

トンテキ「ブーストを吹かしつつバルカンを撃つのがAISの基本行動です。最低限これは今マスターしましょうね」

たつひと「とはいえ、そう難しい操作ではありませんから安心してください。指示通りにボタンを押すだけです」

トンテキ「そうですねえ、たつひとさんは試験段階で誤ってAIS降りちゃってましたが、皆さんそのようなことの無いように( ´艸`)」

たつひと「ちょっとそれ秘密だって言ったでしょう?!笑」

 

 

 

 

 

 

―――――時刻は再び現在―――――

 

すず「ダークビブラスが出現、テクニックを使える人はパニックを入れて一気に仕留めて。銀狐ちゃんは緑拠点で万が一爆弾が飛んで来た時に備えて。ミラベルさん、少し負担増えちゃうけど侵食核も頼むよ!」

 

ダーカーの最後とみられる攻勢に対し、すずが矢継ぎ早に指示を飛ばし陣形が変わっていく。法撃職のイル・グランツがダーク・ビブラスへと殺到し、パニックの状態異常を付与する。通常パニックは敵がめちゃくちゃに攻撃をばら撒くようになるために推奨されないが、ビブラスだけは例外だ。長時間のダウンを奪える。

 

グリンダ「雑魚は少なめですかね~?東も西も私の班に任せてくださいな、後の皆さんはビブラスに集中してください」

イデ「ちょっとパニック入れるの早いですよ皆さん(´・ω・`)もっと絶望的な画を期待していたのに。ビブラスのコアの前は空けてください、決定打が私よりあるならば構いませんが、ね!」

 

グリンダ班の班員はゴルドラーダの後頭部と額の甲殻を壊すことに専念し、そこをグリンダがとどめを刺す役割分担により安全かつ迅速にゴルドラーダの処理を行う。

イデは再びリミットブレイクを発動しバックハンドスマッシュを連打、PP効率は劣悪だがFi中最高の瞬間火力で決着をつけにいく。班員も法撃職がザンバ―スで援護しつつラ・フランツをコアに突き立てる。射撃職も自らの最大火力を叩き込む。

 

ミラベル「う~。ちょっと遠いのです~!」

後方の拠点に侵食核も取り付くが、ミラベルが愚痴りつつも処理して被害を最小限に留める。

 

銀狐「暇です・・・」

ちなみにビブラスがダウンしているため銀狐は特に何もすることが無い。これはこれでいいことなのだが。

 

 

 

―――そして、ビブラスを1度も立ち上がらせぬまま決着がつく。

 

イデ「しぶとい・・・ですが、これで終わりです!!」

 

法撃職の放ったラ・グランツがコアにひびを入れ、イデの拳が粉砕した。

 

グォオォオオオ・・・

 

ビブラスの断末魔とともに、ダーカーの軍勢が空間へと溶けていく。

人員の犠牲は0、防壁の損傷は軽微。快勝と言って良いだろう。

 

グリンダ班員A「やった、勝利だ!」

イデ班員B「生き残れた・・・!」

グリンダ「何かあっけなく終わっちゃいましたねえ?」

イデ「全くです。もうここに用はありません、帰還命令はまだですか?」

 

・・・レーダーに不可解な反応が未だに残っている点を除けば。

 

すず「すんなり過ぎるよね・・・」

深紫華「レーダーにはまだ反応が残っていますし一応警戒を、!!

 

指令室でこんな会話が交わされたとき、丁度『その反応』が顕現する。

 

シュゥゥン シャァァアオオオ

 

 

すず「ファルス・アーム!?でも、明らかに通常とは違う・・・それに2体も」

 

 

続いて、

ブォオオオガァァアアア!!!!

 

 

イデ班員A「またダーク・ビブラス・・・!?パニックで足止めします、皆さんはファルスアームの処理を」

すず「待って!こいつも普通じゃ―――」

 

すずの制止より早くイデ班員から先制攻撃のイル・グランツが連射され、ダーク・ビブラスに命中する。

 

が―――

 

イデ班員A「何でパニックにならな」

 

言い終わるより早く、絶望は動き出す。

ダーク・ビブラスに似た何かが攻撃の発射地点に気づき、角で地面ごと薙ぎ払う!!

叫び声すら上げられず班員は角で打ちすえられて岩壁に叩きつけられる。ベショッ、と人体がつぶれる嫌な音が響く。

 

「ひっ・・・」

 

誰かの怯えた声に追い打ちをかけるようにファルスアームが腕のような体全体を使い、地面を連続で叩きつつ防壁へ突進する。

 

グリンダ「こんのっ・・・止まりなさいな!!」

 

グリンダがハトウリンドウで怯ませて阻止しようと試みるが、ファルス・アームは通常とケタ違いのタフネスに物を言わせまともに防壁へと突っ込む。

即席とはいえ、ゴルドラーダの猛攻をしのぎ切った防壁があっさりと倒壊する。

 

バキッ バキッ グワラシャァァアン

 

そして、防壁がなくなった途端、待っていたかのようにダーカーが再び大量に湧き出す。

 

ミラベル「~~~!!?どうしましょ~?」

銀狐「防壁が・・・!?すずさん、指示を!」

 

驚いたのは後衛の2人だ。さっきまで健在だった防壁が突然跡形もなくなったのだから当然だろう。しかし2人ともすぐに頭を切り替え、すずへ指示を求める。

すずもまたフリーズしかけていた頭を回転させ、

 

すず「全員、即時撤退!!しんがりはグリさんとイデさんに、負傷者の回収はミラベルさんと銀狐ちゃんにお願いするよ!!!―――深紫華!第3基地のAISに出撃要請を」

深紫華「もう通達してあります。それと、第1基地部隊で動ける方にも」

 

深紫華が声をかけたのは第3基地でAIS搭乗要員と、第1基地部隊の2人。

 

アルアス「よっ、すずさん。大変な状況みたいだなあ」

すず「アルアスさん・・・ごめんね。私がもっと反応をきちんと分析できてれば」

アルアス「謝るのは全部終わった後、ベルチェさんのバーでいくらでも聞いてやるから。それよりも今何をすべきか、頼むぜ司令官殿」

すず「そうやって何人もの男を落としてきたんだね」

アルアス「何だまだ余裕じゃねえの、面白い冗だn」

テルー「アルアスさんに・・・グリ師匠は渡さない・・・!!

アルアス「冗談はやめてくれすずさん、テルーから恨み買ってる」

深紫華「・・・腐腐っ」

アルアス「何で腐ってんの深紫華さん?臭いぞー?」

 

などと緊張感のないやり取りの後、アルアスとテルーに指令が下る。

 

すず「2人の任務は、第2基地部隊の撤退の援護、それと最後にレーダーに残ってるこの1番強力な反応・・・これをグリンダさんと一緒に何とか足止めして。グリンダさん、聞こえた?」

グリンダ「了解、っです!!」

 

グリンダが忙しそうに通信に返答する。

 

テルー「グリ師匠が指示に従って・・・!?弟子は嬉しく思います」

すず「いや、単純に好き勝手する余裕がないだけだと思うよ」

 

2人は、第2基地へと出発した。

 

 

第2基地では、グリンダとイデを囮にほぼ撤退を完了していた。残るは、重傷を負ったイデ班の1人を庇いつつ走るこの2人のみ。

 

ミラベル「はぁっ・・・はぁっ・・・!」

銀狐「もう少しでテレポーターです、頑張りましょう・・・」

??「ハッハッハ・・・む?小娘2人と死にぞこないか、ハズレを掴まされたな」

 

2人の目前に最悪の災厄が現れる。

 

ミラベル「ファルス・ヒューナル!?そんな、後少しなのに・・・」

ヒューナル「まあ良い、前菜程度になれば十分」

 

言うや否や拳を振りかぶってヒューナルは突進、横殴りの一撃が3人をまとめて吹き飛ばす―――直前

 

イデ「全く痛い思いは勘弁ですよ・・・いい役ではありますが!!」

 

イデが割り込み、巨大な拳を肩で受け止める。到底拳とは思えない衝突音が鳴るが、イデは吹き飛びもせず見事に耐えきって見せた。

 

銀狐「イデさん!?なんて無茶を」

イデ「良いから行きなさい!私の仕事はあなた方の撤退の支援で、あなた方の仕事は無事の帰還です。今の攻撃ならマッシブハンターのおかげで大したことはないですから、ご心配なく」

銀狐「・・・はいっ。帰還、待ってますからね」

 

銀狐達は無事にテレポーターへとたどり着き、撤退を完了した。

 

イデ「さて・・・では私も撤退を」

ヒューナル「良いわけなかろう。さあ始めようではないか。まあ・・・その腕で猛き闘争になるかは怪しいところだがな」

イデ「ですよね・・・あはは」

 

イデの首筋に冷たい汗が流れる。銀狐にはああ言ったが・・・拳を受け止めた肩は未だピクリとも動かせない。まあ片腕での戦いなら最後の雄姿としては印象に残るか、などとイデが覚悟を固めだしたとき、

 

グリンダ「はい、イデさんは撤退してもらって構いませんよ」

アルアス「お疲れさん、とんでもない無茶したなあ。あれで肩潰れてないとか流石だよ」

テルー「テルー、アブダクのリベンジ救援に来ました」

 

彼らが来た。

救援の姿を見たヒューナルは楽し気に嗤い、吠える。

 

ヒューナル「3対1・・・フハハ、良いハンデよ。

禍王ファルス・ヒューナル、推して参る!!」

 

 

箱舟に、波間から怪物が迫る。

 

 

 

 

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あ と が き

 

長ぁぁあい、説明不要ッッ!!←

いつもながらいっぱい詰め込みましたねー、書きだすと止まらないのは良いことなのか悪いことなのか・・・w

 

次回は第3基地でAISが大活躍&「結晶ポイントが足りないよー!!」とかいうあるあるも盛り込みたいなと思っております(何も反省していない・・・)

 

では、あとがきを書く気力も残ってないので・・・また次回ノシ