グリンダ班A「キリがないな・・・!」
グリンダ「キリがありませんねえ♪」
グリンダと部下は対照的な口調で同じことを口に出す。
イデ班A「何故こっちにグリンダさんが来ないんだ・・・!」
イデ「グリンダさんを撮影できないとかこんなことは許されない・・・!」
イデ班一同「「いや違いますから。というか撮影してないで戦ってください」」
イデと部下は口調まで同じだが意味が180°違っている。これほど部下に慕われない指揮官も他にいまい。
現在はゴルドラーダを中心とした虫ダーカーに混じって、耐久力の高いキュクロナーダやサイクロネーダ、盾を持ったガウォンダとグウォンダのような魚介系ダーカーが攻めてきている。グリンダもイデも、各ダーカーのコアを正確に攻撃して最少の手数と最短の時間でダーカーを倒していく。
すず「ゴルドラーダは後頭部に爆弾持ってるからね!壁に被害が出ないようにちゃんと処理しt」
グリンダ「分かってますよ。・・・頭を斬れば死ぬのでしょう?」
イデ「了解です。・・・つまりは防壁に被害が出なければ良いのですね?」
すずの通信を当然のように聞き流し、ゴルドラーダの頭部を爆弾ごと上下に二等分するグリンダと、
きっちり了解したうえで壁に被害を出さぬよう壁から離れてゴルドラーダを爆発させ、爆発シーンを撮影するイデ。
すず「・・・深紫華、司令官変わって?」
深紫華「嫌 で す。というより、戦況は優勢ですから。私でも特に変化はないかと」
すず「痛し痒し、ってこういうことを言うのかなあ」
司令官としてはストレスでしかないこのバカ共2人だが、戦略よりも戦闘力が物を言うこの場においてはこれ以上ない戦力だ。何故なら防壁はいまだ健在であるからして。司令部でこんな会話ができるのもこの2人のおかげである。
すず「とはいえ・・・まだ気は抜けないね。後衛の2人、聞こえる?」
銀狐「はい」
ミラベル「何でしょ~?」
すず「そろそろ出番が来ると思うから、前衛が強いからって気を抜かないでね」
銀狐&ミラベル「了解ですっ」
と、すずが通信を飛ばした直後、次なるダーカーの群れが出現する。今までと違い雑魚だけではなく、巨大な魚介系ダーカーボスのゼッシュレイダが虚空から姿を現す。
すず「防壁に向かわせないように、イデさんお願い!」
イデ「分かりました」
イデがゼッシュレイダに突進し、足に拳を撃ち込む。ゼッシュレイダの気を引いた後は側面に回り込み、ゼッシュレイダを防壁に突っ込ませないように立ち回る。
すず「イデさんが抜けるからグリンダ班から2人、西側の班の援護に行って!東側はグリさん頑張って!」
グリンダ「簡単に言いますね?まあそう難しくも―――」
言いつつグリンダは壁のように群れるキュクロナーダを斬り捨て・・・その後ろにカマキリのような姿をしたディカーダとその成体、プレディカーダの姿を見る。攻撃力はそれなりに高いが、虫型ダーカーらしく耐久力は低い。しかし1つ、他の虫型ダーカーにはない特徴を持つ。
グリンダ「あちゃ、やられましたね・・・」
グリンダの目の前からディカーダたちの姿が消える。単なる高速移動ではない、防壁の向こうへのテレポートだ。
キュクロナーダは足止めの壁。グリンダと戦わずしてディカーダは防衛戦を突破する。さらに正面からはゴルドラーダが遅れて出現し、防壁の破壊しようと向かってくる。
グリンダ「・・・嫌なことしてくれますね。どちらを先に倒しt」
すず「グリさん?後ろは良いから、前線のダーカーを殲滅してって言ったよね私。ミラベルさん、後ろ頼んだよ!」
ミラベル「は~い。・・・とりゃーっ!!」
ミラベルが愛用の双機銃を手にグリムバラージュで接近、そこからデッドアプローチで体当たりしてまとめて気絶させる。続くヒールスタッブのかかと落としでユカタヴィアの短い裾を盛大に翻しつつ大半を絶命させ、残った1体はエリアルシューティングで空中に蹴り上げて殲滅を完了、拠点の危機を救う。銃は鈍器。
グリンダ「あー・・・そんなこと仰ってましたね。覚えてますよハイ」
すず「嘘つくなこの戦闘バカ(´すωず`) あと拠点にダーカー兵器の反応があるから、銀狐ちゃんは拠点の様子を警戒しておいてね」
銀狐「了解です!」
グリンダの戯言を一刀両断し、すずは今後に備えた指示も出す。銀狐のクラスはBr/Hu。戦場をグレンテッセンで高速移動できるため、広範囲の拠点を警戒するには適任だ。
イデ「流石はボスダーカーと、言いたくなるタフさですねえ。いい加減うんざりだ」
一方、イデはゼッシュレイダを翻弄しつつも想定外の耐久力に手を焼いていた。何度となく拳を打ち込み、グラつかせてはいるのだが、あと1歩命まで届かない。そんな状況が続いている。
すず「ごめんイデさん。無茶を言うようだけど・・・早めに仕留められない?このままじゃ前線が危ういの」
振り返るとイデ班の3人とグリンダ班の2人がイデの穴を埋めるため奮戦している。が、イデを軸としていた時よりも処理は遅く、全員が全力を振り絞っている分消耗も激しい。さ防衛線を突破されるのは時間の問題だろう。ゼッシュレイダの攻撃をかわしつつ、
イデ「少々リスクを負いますか。・・・筋力制限、解除」
イデが呟くと、元々逞しかった筋肉がさらに、711Tシャツをはち切らんばかりに膨れ上がる。「マッシブハンター」、筋力を大幅に増強するスキルだ。骨格への負荷を考えて時間制限が設けられているが、イデならば最長の45秒間この状態を維持できる。
ゼッシュレイダ「ギャァオオオオ!」
ブォンッ
ゼッシュレイダが鎌のような手を振るう。今までは避けていたその攻撃を、
イデ「先ほどまでとは違いますよ、ッ!!」
イデはマッシブハンターで強化された筋力で受け止め、跳躍。胸のコアに狙いを定める。と同時に、もう1つのキーワードで仕留めにかかる。
イデ「フォトン出力制限、撤廃!!」
「リミットブレイク」と呼ばれるFi専用のスキルだ。一定時間極端に体力が低下するが、爆発的な火力を得る。
ゼッシュレイダがブレスで薙ぎ払おうとするが、イデはハートレスインパクトで懐に潜り込む。
ジリッ、と背中を掠めるブレスの感触があるが深手ではない。イデは胸のコアに張り付き、ラッシュを開始する。
ガギィンッ ガッガッガコン ババババッ
バックハンドスマッシュ、スライドアッパー、フラッシュサウザンド、高速の烈打が次々にコアに吸い込まれていく。リミットブレイクとマッシブハンターで威力をましたPAは、ゼッシュレイダに反撃どころか後退する暇すら与えない。
イデ「―――あ、すずさんですか?終わりましたよ」
すず「流石だね~、でもそんなのあるなら早く使ってほしかったんだけど」
イデ「あはは・・・。使わなくても倒せると高をくくってまして、すみませんね」
すず「まあいいよ、すぐ班に合流して。グリンダ班の2人、元の場所に戻ってOKだよ」
グリンダさん「もっと時間かけても良かったんですよイデさん。何ならその2人、差し上げましょうか?」
散々暴れ、未だに軽口をたたくグリンダをすずは咎めたりしない。どうやら諦めたようだ。
グリンダ「・・・突っ込みが無いと寂しいですよ(´・ω・`)」
すず「コミュニケーション取るつもりがあるなら普段から通信をきちんと聞きなさい!!!」
グリンダ「突っ込んでくれるなら初めから突っ込んでくださいよ」
無視するのは良いが無視されるのは良くない、非常に迷惑な性格である。
ともあれ部隊は元に戻り、瓦解寸前だった西側の戦線もイデの復帰で一気に持ち直す。ウォルガーダなどの中ボスも漏れなく瞬殺され、防壁はほぼ無傷のままダーカーの数だけが減っていく。
ときたまワープしてくるディカーダはミラベルが、拠点にとりついた侵食核は銀孤が素早く対応して排除する。開戦直後の緊張も解れ、防衛の態勢は盤石と言って良いだろう。
それでも司令官の表情は冴えない。
すず「まだ、妙な反応が残ってる。いったい何が隠れてるんだろう」
深紫華「とはいえ、この数を相手取れた部隊なら問題ないのでは?」
すず「うん、大群なら心配しないよ。単体っぽいこの反応が気になるんだよね。第1基地で確認されたのとも違う。・・・もしかしたらあの2人でも対処しきれないかも」
深紫華「第3基地に報告を入れますか?あとは第1基地防衛隊の中で動ける面々にも。」
すず「初実戦としてはかなりハードになるけど・・・お願い」
深紫華「分かりました。―――トンテキさん。強力な反応が検知されました。AIS、いつでも出られるように準備をお願いします。―――第1防衛隊の中で動ける方は第3基地への出撃準備を。ただし無理はしないようにしてください」
次回、箱舟に過去最大の災禍が迫る。
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あ と が き
少しでもディカーダになりたいと思った人。ミラベルさんには怒らないように私から言っておく(怒らせないようにできるとは言ってない)から挙手しなさい。(´・主・`)ノ
前回の焼き直しみたいなのになってしまいました、うん(´・ω・`)
ネタ切れってやつですね
毎度毎度おんなじ表現ばかりになってしまうこの文才、何とかなりませんかねえ。グリ師匠にSSの書き方習おうかな←
次回は「禍」の字の付くあいつが登場しますよ!あとはダーク・ビ・・・とかも暴れさせたいなと。
ではまた次回ノシ
文章を練らないと飽きられちゃうので、更新ペースが落ちると思いますがよろしくお願いします!