商品開発を行う上で、機能に重点をおいて考えることはよくあります。
例えば、ビジネスマン向けの商談時などで、どんなやり取りが
行われたかを再確認する為にICレコーダーを
持ち歩いている人は多いです。
開発担当者もその顧客像をイメージとし、だいたい商談時間がこれくらいで、
場所の大きさや相手までの位置など、様々な要素を取り入れて
開発したのでしょう。
今でこそICレコーダーを知らない人はあまりいないと思いますが、
初めて、それを販売する時には明確なメッセージがないと消費者に用途や
商品機能などは伝わりません。
仮に「ビジネスマンの商談時に使えるICレコーダー」というキャッチフレーズで
売り出したとしましょう。
商品の概要と使える機能を販売店さんに明確に伝えて、当然、取扱説明書などは
添付して販売しますが、その後の結果は思わぬ方向に進むことがあります。
それは、もともとビジネスマンにターゲットを絞った商品が、バイト疲れで
眠くてたまらない大学生に購入されたことです。
用途は、大学の講義を居眠りした時の為に録音しておくという
ベネフィットでした。
また、鍵っ子と呼ばれる子供が帰宅した時の為に、母親があらかじめメッセージを
録音して不在時のコミュニケーション用に買われたケースです。
これも、開発者がイメージ出来なかった顧客像です。
開発者が、具体化した顧客像から、購入されたお客様により様々な
機能的ベネフィットが追加され、販路が広がった嬉しい事例です。
このように、消費者=開発者となるのはものすごく難しく、
一つの商品を開発する上でも様々なターゲットが生まれてくるのです。
人間は、自分のことをメインに考える生き物ですから、
相手の視点にたつことがマーケティングの根本ですが、
如何に難しいかを如実に示しています。
ですから、先ほどの事例のように出来るだけ顧客像は
具体的にする必要があります。
ICレコーダーの開発時に、「ビジネスマンの商談時」という具体像がなければ、
このような広がりは見せなかったでしょう。悪い例で言うと、
「長時間録音が出来るICレコーダー」
だけでは、消費者は「?」マークで終わっていたかもしれません。
現在のマーケティング では、顧客像を特定の一人までに絞り込んで
製品開発を行う企業が殆どです。そこから、人とTPOを加えて、
製品のベネフィットがどのセグメントに属するかを考えるようになっています。
飛行機のパイロット用に開発された眼の疲れを取る商品が、
長時間のパソコン使用者や長距離バスドライバーなどに用いられているのも、
機能的ベネフィットから展開される広がりを見せたセグメントと言えるでしょう。

