我が家には彼の仕事部屋があって、彼はよくそこに籠って仕事をしている。
彼の仕事部屋は、壁一面に天井までたくさん本が並んでいて、何となく印刷の匂いがして小さな図書館みたい。
彼が仕事をしている時は、とても集中しているので、何となく声をかけづらい。
なので彼に用事がある時は、彼の部屋のドアをすうっと開けて
今声をかけて大丈夫かなぁと雰囲気をうかがう。
すると彼の仕事中の背中が見えるのだけど、
私の圧を察してか、
彼は必ず手をとめて私の方にくるりと椅子を
まわしてこっちを向く。
休みの日、私が寝坊して「おはよう…」と声をかけるとくるりと椅子を回して
とうとう起きてくれた、と言ってから
コーヒーできてるから飲みな、と言うし
「今日の予定は?」と声をかけるとこっちを向いて、今日はずっと仕事だねぇと言う。
「・・・。」の時でさえ手をとめて
お腹空いたの?とか聞く。
そう、私の用事はいつも全くもってたいした用事ではない。
だけど彼の対応はいつも穏やか。
これは意外と簡単にできることではない。
私もこの仕事を今やっちゃいたい!
という時に限って
ちょっといいですか?とよく声をかけられる。
うっっ!と思うけど、そんな時はいつも彼の
姿勢を思い出すようにしている。