同焦点楕円球座標のラプラシアン(1) | 化学の電子状態のブログ

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2013年 新年明けまして、おめでとうございます。

 

100年前の1913年は、N. Bohrが原子の電子軌道としてBohrモデルを発表した年です。円軌道と楕円軌道の初期量子力学のものです。2013年の新年の書初めとして、この楕円をシリーズとします。

 

前回の「水素分子の電子軌道」シリーズでは、定積分値は8PRO積分表より引用しました。今回の楕円のシリーズでも8PRO積分表を引用します。楕円柱座標( hyperbolic Elliptic Cylindrical Coordinates)と同焦点楕円球座標( hyperbolic Confocal Elliptic Coordinates or hyperbolic Prolate Spheroidal Coordinates)のラプラシアンが主題となります。シリーズ名は、「同焦点楕円球座標のラプラシアン」とします。

 

双曲線関数を使う同焦点楕円球座標のラプラシアンは、水素分子と水素分子イオンに使われます。この同焦点楕円球座標は、双曲線関数を使う楕円柱座標を経由して導出されます。極(球)座標のラプラシアンが、円柱(円筒)座標を経由して導出されるのと全く同じ方法を用います。

 

公式を使う方法など解法は色々ありますが、今シリーズは数学Ⅲと微分方程式入門の解き方です。参考書としては、高等学校・数学Ⅲと微分方程式入門(ラプラス方程式)・楕円柱座標および極座標への座標変換が含まれるものが最適です。

 

新年から突然ハードルが高くなりますが、高等学校の数学Ⅲと、微分方程式入門のXYZ座標(デカルト座標)→円柱座標→極座標のラプラシアンの座標変換は既に解けるとして駆け足で話を進めていきます。


今回の第(1)回から第(7)回まで、XYZ座標から楕円柱座標 (Elliptic Cylindrical Coordinates)へとラプラシアンを座標変換します。以下、双曲線関数を使う楕円柱座標のラプラシアンを求めていきます。

 

 

●楕円柱座標の座標
最初にXZ平面で考えていきます。XZ平面上で座標は次のようにおきます。


化学の電子状態のブログ-L-1-1
化学の電子状態のブログ-L-1-2
XYZ座標で表した電子P1(x1, y1, z1)と楕円の焦点A(0, 0, -a)との距離を変数rAとします。同様に、電子P1(x1, y1, z1)ともう一方の焦点B(0, 0, a)との距離を変数rBとします。そして、焦点Aと焦点Bとの距離は2a(=rAB)とおき、定数とします。このように2原子分子の水素分子および水素分子イオンの電子軌道では、ボーン・オッペンハイマー近似(Born Oppenheimer Approximation)より、原子間距離2a(=rAB)は変数ではなく、定数として扱います。

 

水素分子の電子軌道(4) の最後でも少し触れましたが、水素分子および水素分子イオンは、核Aと核Bという2核であるため電子とは別個に核同士の振動と回転という自由度もありますが、ここでは電子だけに着目し電子軌道だけの話をすすめていきます。

 

XZ平面上の電子P1(x1, y1, z1)からX軸に垂線を下ろし、X軸と交わる点を点x’1とします。点x’1はx’1(x1, 0, 0)となります。次に、電子P1(x1, y1, z1)からZ軸に垂線を下ろし、Z軸と交わる点を点z’1とします。点z’1はz’1(0, 0,z1)となります。