おじさんの妖精。
おじさんの妖精は、ちょっとやってくるのが遅いです。
だって、おじさんなんですから。
おじさんの妖精は、空を飛べません。
だって、高所恐怖症のおじさんなんですから。
おじさんの妖精は、いつもニコニコしているとは限りません。
だって、とても厳格なおじさんなんですから。
おじさんの妖精は、何故かどことなく寂し気です。
だって、そういう歳なんですから。
おじさんの妖精は、いつもビジネススーツでやってきます。
だって、それが一番似合ってると信じているから。
おじさんの妖精は、大人のところにしか来ません。
だって、子供の前だと普通のオジサンに戻っちゃうから。
おじさんの妖精は、時折「木」を持っています。
でも「植木」ではありません。
おじさんの妖精が持ってる「木」には沢山の「鳥」が
棲んでいます。
でも、おじさんのペットではありません。
おじさんの妖精には、人を幸せにする力などありません。
でも、ちょっとだけ希望をわけてくれます。
おじさんの妖精は、夕方になるとクシャミがでます。
その時、風が生まれます。
おじさんの妖精は、家族を持っています。
でも、妖精はオジサンだけです。
おじさんの妖精は、近頃ちょっと涙もろくて困っています。
でも、一番悲しい時のためにグっと堪えています。
おじさんの妖精は、本を読むのが大好きです。
でも、すぐに眠たくなります。
おじさんの妖精は、いつからか怒らなくなりました。
でも、心の中ではちゃんと怒りも持っています。
おじさんの妖精は、丸メガネに口ひげを生やしています。
でも、似合ってると思ってるのは残念ながら本人だけです。
おじさんの妖精は、いつ妖精になったのか覚えていません。
ある朝、目が覚めたら羽根が生えていました。
おじさんの妖精は、珈琲が大好きです。
毎朝、豆を挽き、とびきり上手い一杯をゆっくりと時間をかけて
飲み干します。
おじさんの妖精は、最近深く悩んでいます。
自分の姿を見てくれる大人が減ったと、、、。
おじさんの妖精は、とっても寒がりです。
だから、暖かい気持ちの大人にしか見えません。
おじさんお妖精は、目をつむっても見えません。
それに目を開けていても見えません。
おじさんの妖精は、その途中で見えます。
ですが、気まぐれなのでいつも見えるとは限りません。
おじさんの妖精は、、、内緒ですが、、、
ウサギの耳のついたカブリモノが大好きです。内緒内緒。
そんなおじさんの妖精に会いたいですか?
本当におじさんの妖精に会ってみたいですか?
・・・・・会いたいですか?
大丈夫、おじさんの妖精を信じていればいつか会えますよ。
必ず。
捨てられないモノ。
なんだか捨て切れずにいた『ビン』、、、。
別にこれといった思い入れがあったワケでもないのだが、
ただなんとなく資源ゴミにはしたくなかったから
ズ~~~っと棚に置いていた。
こういう類いのモノ達が部屋の中に随分とある事に
あらためて気付いた。
捨てなければいけない『モノ』と、捨ててはいけない『モノ』
『モノ達』にしてみれば、いい迷惑なのかも知れないが、
捨てなければいけないモノにとらわれ過ぎて、いつのまにやら
捨ててはいけないモノにしてしまっているような気がする。
いっそ全部捨ててしまえば、、、とも思うのだが。
きっと何年か後には同じ事を思っているに違いない。
ふと、星の王子さまが言っていた言葉が思い浮んできた。
『本当に大切なものは、目には見えないんだ』
やっぱりこのビンは資源として再利用された方がいいのかも。