想像してみた | どこにいても 私は私~南半球で暮らしてます~

想像してみた

*想像文です(もっと言うならある日見た夢です)

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なんだか、気分が悪くなって
倒れこんだところまでは覚えていたの。

次に目が覚めた時には
動けないようにベッドに寝かされていて
通りがかった人に聞いたら
どうやら私が勝手に点滴を引き抜いて危険だからって
あの手、この手で抑制してたみたい。

説明も何も通じなかったんですって
だから、暴れまくって手首は傷だらけで血が滲んでて。
今、こうやって話せるのが奇跡だってなんか騒がれちゃってる。

私、どれだけ気を失っていたんだろう?

「ご主人連れてきましたよ」って目の前に立ってる人は
背中の曲がったおじいちゃんで見覚えがないんだけど。

「あなたなの?縮んじゃったのね⁉︎」
ちょっと吹き出したようにしながら顔を覗き込んでみても
その老人は冗談を言いそうな顔をしない。

だって、え?どういうこと?

私、どれだけ寝込んでたの?

そんな疑問が不意に湧いてきて「鏡を見せて」とお願いしてみた。


「あら、まあ」

そこに映り込んだ姿も見覚えがなく
初めて見る顔がそこにあった

「何があったの?」と付き添ってくれた人に聞いてみても
聞かれた方も答え方を探してるような表情で
私の顔を覗き込んだ。


ずっと「我を忘れてた」みたい。
ずっと生きてきてたのに、自分じゃなかっただなんて。

体は動いていたのに
食事もできていたのに
私はずっと「私」じゃなかった。

なぜ今更「線」が繋がってしまったんだろう?

老いさらばえた自分を受け入れられなくて泣いた
ものも言わない背中を丸めた老人(夫)にも近寄れなかった。

「認知症なんですよ」

そんなこと言われたような気がしたんだけど。

また、忘れちゃうのかな…


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実際、職場でご自分の腕を指差し
「ちょっと見てよ、これひどい痣でしょう?
近所の悪い子供たちにやられたの!」と訴えてくるものの、
それは痣ではなく、老人性のシミ
説明しても、認められず
鏡でご自身を見るたびにハッとしては「今」と「昔」の区別がつかずに混乱してる方がいた。

こんな夢を見た後は、なんとなく
その人のことを思い出して悲しくなった。

自分の身にも起きることなのか、なんて誰にもわからない事だもの。