夕方の満員電車に乗っていた。

朝ほどの

ラッシュではないけれど

やや混んでいた。

私は読んでいた本から

目を離し

ボーっとしていた。

左隣では

お姉さんがスマホを

いじっていて

右隣には

強面な50代くらいの
サラリーマン風の男性が
新聞を読んでいた。

よくある光景だった。

次の瞬間、

私の視界が捉えた!


男性の新聞の上部を

つかんだ

小さな手!


えっ⁉️

と思った

次の瞬間、

満面の笑みを

浮かべた

赤ちゃんがいた。

よく見ると

前に

お母さんが

抱っこではなく

その赤ちゃんを

おんぶしていた。

私は

すぐ様この男性の反応が
気になった。

時々出没する
凶暴サラリーマンかも?

怒鳴ったりしたら

この赤ちゃんとお母さん守らないと

なんて考えた。

でも

そんな考えはすぐに払拭。
というか
ごめんなさいって思った。

男性は
赤ちゃんが新聞を
握ったままにさせ、

笑顔で答えていた。

さらに変顔までしてた!

赤ちゃんは

満員電車の中でも
びっくりするほど
機嫌が良く、
ずっとニコニコし

変顔には

さらに

反応し

キャッキャ笑っていた。

赤ちゃんは

私の方も

見てきたので

男性に負けず

変顔をしたら

キャッキャ喜んでくれる。

か、可愛すぎる!

メロメロになった。

いつの間にか
隣のお姉さんも

スマホいじりをやめ、

キレイな顔を歪めて
変顔をしている。

他にも赤ちゃんを
取り囲む数人が

赤ちゃんビームに
やられてしまった。

変なライバル心か

赤ちゃんビームを
独り占めしたくなったのか

人目を憚らず

みんなで

変顔大会が始まってしまった。

赤ちゃんは

両手両足を

バタバタさせ

キャッキャ喜んでしまい

ますます

ヒートアップ。

それに応じて

みんな変顔。

途中

赤ちゃんの反応に

お母さんが気付いて

すみません…なんて謝る。

いえいえ

男性は
変顔途中で

訳わかんない対応していた。

お母さんは

謝ってきたけれど

もしかして

視界の端で

みんなの変顔を捉えて

うわぁっ怖っ!

って思っていたのかもしれない!

確かに

側から見たら

良い大人たちが

無言で

変顔しているから

ちょっと怖いし
シュールかも。

とはいえ

お互い周りの反応より

赤ちゃんの反応を

気にしていた。

赤ちゃんは
終始ご機嫌で
ずっとキャッキャ笑っていた。

私が
降りるまでいて欲しいと思ったが

残念ながら

私の降りる
一駅前で

降りてしまった。

お母さんは
再度謝ってきたけれど

とんでもない!
こちらこそスミマセンだし
お礼を言いたいくらい。

お礼を言う時間はなかったけれど。

なぜか

赤ちゃん降りて行くとき

みんなで名残惜しく
赤ちゃんに
手を振ってしまった。

その後

何事もなく

各自の世界に戻ったけれど

きっと
みんや
癒されて
幸せな気分になっていたと
思う。

子育ては
大変な事沢山あると思うけれど

あんな
屈託無い笑顔をみたら

疲れも吹き飛んじゃうだろうな

と思った。

幸い
周りが赤ちゃん好きで
良かった。

まあ

あの笑顔みたら

みんな

やられてしまうと思うけど!

赤ちゃんのパワーって
すごいな。


嬉しいハプニングでした。

また会いたいな!