二つのものを対置することで、両者の違いがはっきりしてくるのと同時に、
よく比べていると、一見違いのように見えていたものの中に、
「違い」とだけでは 言えない何かが 現れてくる。
例えば、生と死のような対極にあるものを見比べてみると、
生が死に変わり、死が生に変わる、一種の視線の振動のような思考が生まれてくる。
また、わたしとあなたという対極においても同様に、
わたしがあなたに変わり、あなたがわたしに変わる。そして、あなたがわたしに、わたしがあなたに、・・・
という振動のようなものが生まれる。
そして、対極にあったはずの 二つのものの間にあったはずの そう、あったはずの境界線のようなものが、すこしずつ薄れ、そして、消えてゆく。