ベッケンバウアー。
1月7日、フランツ・ベッケンバウアー氏が亡くなった。
ドイツのみならず、世界のサッカー界のアイコンであった。
ディフェンダーで、バロンドール(最優秀選手賞)を2回獲
得した。
リベロというポジションを確立し、最後列の今でいうセンター
バックから、パスをつなぎ、シュートまでする『アタッキングリ
ベロ』として活躍した。
クライフと共に、いわゆる『近代サッカー』を確立した一人だ。
ブラジルのレジェンド、マリオ・ザガロが1月5日に亡くなった
ばかりだったのに。
1974年ワールドカップ優勝の時。
彼の偉大さは、選手としてのみならず、指導者としても抜群の
実績を残したところにある。
実は、私は歳をとってからの彼の顔がとても好きだった。
自分を律する厳しさ、品格の高さ、そして人懐っこさ。
そういうものがにじみ出ている顔に思えた。
受験生のために、彼の遺した言葉を紹介したい。
【 強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ。 】
これは、あまりにも有名な言葉。
1974年、決勝でオランダを破った時に語った言葉だ。
受験は、偏差値の高い者が勝利者なのではない。
合格した者が勝利者なのだ。
いつも書くことだが、合格した受験生は、最後まで諦めず、
受験する学校の過去問をただ解くだけでなく、分析し、どう
攻めるか(各科目、そして全科目のバランス)をよく考えて
いる。
高い学力を保っている生徒も、その分析、工夫をしっかり
行い、油断しない。
だから、合格できるのだ。
【 冷静にプレーするというのは、非常に重要なことで、
自分もそうあろうと極力努めてきた。
カッとなってプレーすると、状況判断が鈍るし、ミスも
出やすくなる。 】
これは、引退し指導者となって、インタビューに答えた時
の言葉。
受験の本番で良い答案を残すためには、興奮しすぎたり、
過度に緊張したりしないように努めよう。
そうしないと、普段しないミスを連発したり、難しい問題で
つっかえて(時間をとって)、簡単な問題の存在に気づかな
い(つまり得点できるところで得点できなくなる)。
彼は、『極力努めてきた』と言っている。
彼だって、神様ではないから、イラっとすることもあったのだ。
受験生だって、普段のミスは本番でも出る。
緊張しているのだから。
それは想定内だ。
ただ、変な精神状態になって、普段しないミスを連発すること
は避けるべきだということだ。
同じリベロとして活躍したイタリアのフランコ・バレージは、
ベッケンバウアーについて、
「何世代にもわたるインスピレーションの源」
と語ったそうだ。
私は、フランコ・バレージのプレーがとても好きだった。
1994年ワールドカップでイタリアを準優勝に導いた時の
技術、人間性、キャプテンシーは決して忘れない。
そのバレージが、そこまで語るのだから、ベッケンバウアー
の遺したものは、相当なものなのだろう。
さよなら、ベッケンバウアー。