私は高校卒業の翌日から仕事になりました。でも、今日からは「食べ物には苦労しなくてもよさそうだ」ということだけでも幸せと感じていました。毎日朝10時から夜12時まで働いていました。というよりお客さんが全然来なくて暇でした。

それはそのはず、親戚のおじさんに私と母親は「おまえ達を助けてやるからこの店を引き継げ」と言われ、私は就職先も決まっていましたが断りこの店を継ぐことにしたのです。商売のことも何もわからず、母親は1週間おじさんに指導され、私は1日も教えてもらうこともなくスタートしたのですから。でも今の私だったら何とかしたかもしれませんが・・・

 

店を継いでから3か月後、仕入れ先から食材を入れることが出来ないということを知らされました。それは、おじさんが店をやっていたころにためていた未払金があって、それを知らない私と母親はびっくりしてしまいました。それから数日後、金融機関からも支払いの催促にやって来ました。これでは店を続けることが出来ません。私と母親は「こんなに借金があるなんて聞いてない」とおじさんに詰め寄りましたが、「店を継ぐっていう事は借金も継ぐってことなんだ」といわれまた私と母親は借金が増えてしまいました。その金額は500万円でした。昭和60年代の500万円ですし、二十歳の私には絶望的な金額でした。

その後、おじさんは実家のお爺ちゃんを説得して財産をすべて処分し私の親父の借金(3000万円)を片付け、

その残り(5000万円)を持ってどこかに行ってしまいました。二十歳の私にとって3500万円の借金はあまりにも大き過ぎました。お先真っ暗って感じです。

 

学校に通っている頃の貧乏は「親の生き方=貧乏=私」でしたが成人したら「貧乏=私」になってしまいます。

「絶対貧乏は嫌だ!」と思っていた私にとってお先真っ暗な感じでした。

こんな私に「うちの会社に来ないか?」と誘ってくださった社長さんがいました。私はそのお誘いに乗ることにしました。