マキノ雅弘 日本侠客伝 関西篇 | ブッチャー山のブログ

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昨今の、エフェクトーバイオレンスや刺激、ビジュアル重視ーだけで中身は空っぽで進歩がないアクション作品にうんざりした時には、映画の基本がしっかりと凝縮した、クラシックな作品をみるとフラストレーションはだいぶ一掃されます。まさに、この作品は、そういう作品であります。オープニングから数カットで、物語の背景や状況が描写されてしまうその手腕には、改めて驚いてしまいますが、まさに、これが、サイレントから鍛え上げた活動写真家の面目躍如というべき、フィルムの強さであり、いわゆる経済性を超えた、映画の時間と物語の有機的な共同体としてのフォルムの強固さを示してあまりありますが、演出がまた見事であり、まさに、明治の気骨、人情がそれぞれの所作に具現化していて圧巻であります。高倉健と鶴田浩二の競演も見事でありーまだ、この時は、鶴田浩二が格上扱いだがー、端役の里見浩太朗、悪役の大友柳太郎と時代劇からの残留組も入ったオールスターキャストもぴたりと決まり、単なるアクションには収まらない人情劇として、見応え十分な作品になっています。八千草薫もまだまだ若かった!ラストの藤山寛美の使い方も粋な、実に味わい深い作品にもなっています。これこそ、アクション、活劇であります