ここ最近フランケンなど冬の韓国ミュージカルがどんどん動きだしていて、新たなニュースに沸いたりしてるんですがまだまだJCSロスからは抜けられそうにないです!
新たな作品で記憶が上書きされる前に感想書き切らなきゃな~。なかなか思うように言葉にできず時間がかかってしまってるのですがとりあえず今日は1幕ラストまで行きますよー

前回の続きから。

■Everything's Alright

ジーザスを香油で癒すマリアと、それを批判するユダ。香油を買う金があったらその金で貧しい人を救えと言うユダに対するジーザスの言葉の部分がかなり大胆な解釈で訳されてます。英語版で以下にあたる部分が

 Surely you're not saying
 We have the resources
 To save the poor from their lot?
 There will be poor always
 Pathetically struggling
 Look at the good things you've got!
 Think while you still have me
 Move while you still see me
 You'll be lost
 You'll be so sorry
 When I'm gone


韓国版だと以下の歌詞に 

   저들의 고통을 그 따위 돈으로 구원한다 믿는가
 彼らの苦痛をそのような金で救えると信じているのか
 영원히 계속될 인간의 고통을 구할 방법 하나 뿐
 永遠に続く人間の苦痛を救う方法は一つだけ
 넌 알고 있으니 날 이용하거라
 お前は知っているから 私を利用しろ
 네가 할 일 후회하게 될 일 온다면*
 お前がすべきこと 後悔することになることが来たら


HOTMでは狂言回しとしてジーザスの「裏切られ死ななければならない運命」を知っていたユダですが、“What's The Buzz?”“Strange Thing, Mystifying”でのユダは単に組織の参謀としてジーザスと対立しているように見えます。そのユダが、自分がジーザスを死に導く役割を背負っていることをはっきりと自覚するのがこの“Everything's Alright”のシーンなのかなと感じました。心の奥底で知っていた使命をジーザスの言葉によって思い起こしたかのような。

この一連の流れを見ると、「福音書を書いて後世に名を残したい」と言う他の使徒たちと違ってユダは決して自分のためではなく他人のために行動する正義感の強い人だからこそ、ジーザスは自分の計画を助ける者としてユダを選んだんだろうなと思います。
ジーザスの意識はすべての人間の救済に向けられていて、既に半分神の国にいるかのように常に遠くを見ています。自分が死ねば、救済が訪れる。だからすべては大丈夫。とユダを諭すのですが、ただ目に映る人たちを救いたいユダにはわからない。そのためにユダにとっては一番救いたい人が犠牲になるなんて全然納得がいかないし全然大丈夫じゃないんだけど、従うしかないっていう、ユダの葛藤の表情がものすごく辛いシーンです…。

「お前は知っているから」のところ、ジェリムジーザスはチサンユダの頬をそっと撫でます。自分の計画をユダに手伝わせなければいけないことに胸を痛めているっていう表情。ずっとユダを演じていただけあってジェリムさんのジーザスは全体的にユダに同情的で、「お前しかいないんだ、頼む」っていう縋るような顔をします。ジェリムジーザスにとってチサンユダは唯一の理解者という感じ。チサンユダもそんなジーザスをわかっていて、それでもジーザスを運命から救いたいと思ってる。

対して同じ部分をウンテジーザスは、ヒョンリョルユダの胸に手をあて歌います。柔らかな歌声だけど強い目線で有無を言わせぬ「やりなさい」って顔でプレッシャーかけてくるウンテジーザスに、それまでキャンキャン鳴いてたヒョンリョルユダも黙るしかない…でもでも~やだよ~って感じ。

ウンテさんのジーザスはジェリムさんもインタビューにて「穏やかな中に冷たい壁」と評していたとおり、意志が固くひとり粛々と使命のために突き進むジーザスという感じです。ウンテさん自体が、歌やお芝居を予め決められた完璧なプランを一寸の狂いもなくこなしているように見える方で、美しすぎる容姿も相まって、完全に人間離れしたオーラを放っていて、照明に照らされているんじゃなく自ら発光してるんじゃないかと思うくらい。

そんでウンテジーザス、他の使徒には表面上は穏やかに接するんですがユダにはめっちゃ厳しいの…。なんとかジーザスが生きられる道へ導きたくてウンテジーザスのその頑なな心に何度もぶつかっていくヒョンリョルユダ。要所要所で交わされるジーザスとユダのアイコンタクト、ジェリムジーザスとチサンユダが天命の共有ならば、ウンテジーザスとヒョンリョルユダはなんとか感情に訴えかけて心の壁を突き破りたいユダとそうはさせまいとするジーザスの攻防に見えました。色んな組合せを観られてる方々が「ウンテジーザスにはヒョンリョルユダがベスト」って言ってるのもなんとなくわかる気がします。ウンテジーザスの冷たさはその心をこじ開けようと必死に立ち回るヒョンリョルユダがいるから成り立つものであって、ジーザス単体のお芝居としては好みなのはジェリムジーザスだったかも。ユダも然り。

感情豊かで、身体は背を向けていても常に全神経がジーザスに向かっているのが丸わかりなヒョンリョルユダ、大型犬ぽくてかわいいんす…。本国のお仲間のJCSファンアート見てると大体ヒョンリョルユダぽろぽろ泣いててw 完全に泣き虫ユダ認定されてますw 3ユダの中で一番外見は屈強で男臭い奴なのに。…そう、そのギャップも私のツボなんですよ。ヒョンリョルユダはヘアスタイルも剃りこみにライン入れてバリバリに決めてるしタトゥーもたくさんあるし腕にも何やら巻いてるしでおしゃれさんなんですけど、個人的には外見を過剰に装飾することって内面の自信の無さの表れなのではないかと思ってて(時と場合にもよりますが)ヒョンリョルユダのスタイルには弱さや迷いゆえに理想の強い自分を外見で演出することによってアイデンティティを保ってるみたいなイメージがあるんですよね。私欲を捨て去った眩しいくらいの白一枚の姿のジーザスと対比するとそれが際立ちます。ジーザスと理想を共にしているとユダ自身は思っているのですが、結局自分は私欲に動かされているんだっていうことに追いつめられるまで気づかないんですよね。ついにそれを自覚して吐露するのが最期の曲だと思ってるんですけどその話はまた次します。

とにかく、かつてはカリオテでぶいぶい言わせて「地元じゃ負け知らず」だったけどジーザスに出会って自尊心粉々にされ人生観丸ごとひっくり返り、一生ジーザスについていくことを決めた忠誠心の強い元ヤンみたいなのが私のヒョンリョルユダのイメージで、神とか使命とかややこしいことがなんもなければジーザスとは主人と忠犬みたいな良いコンビネーションだったんだろうなーって感じです。無表情で「ユダおすわり」言ってるウンテジーザスが目に浮かびます。ユダ使い荒そうだな~。シモンあたりに「ジーザスって俺らには優しいのにユダさんにはめっちゃ毒舌っすよねー」って言われてそうだな~。ヒョンリョルユダって感情がわかりやすく顔に出るからウンテジーザスに容易く掌で転がされるよね。いけずして反応を楽しみたくなるよね。「ジーザスに鬱陶しがられている…?」って凹まないでユダ、わかりにくいけどそれウンテジーザスなりの愛情表現なんだよ…。そのへん全部見抜いてるけどなんか悔しいから絶対ユダには教えてやんないマリアさん。

話がだいぶ逸れましたが、私はヒョンリョルさんのどこまでも人間臭いユダと、神々しいウンテジーザスとの絶対的なステージの違いがとてつもなく好みだからこそ、ユダには預言者として神の啓示を受けた存在というよりメタ的な意味合いとして物語と観客(=神の視点)の間にいる人であって欲しいんだと思う。舞台っていう物語を繰り返す運命に永遠に囚われた人間のキャラクターていうか。ちょっと何言ってるのかわかんないかもですが。すいません。

チサンユダだったら預言者設定もアリだなぁ。チサンユダは悟り感が強くて他の人たちよりも神に近いステージにいる人間って感じなので、限りなく人間に近い神の子ジェリムジーザスとは対等性があって、心が通っている印象でした。ジーザスがどうしたいのかはわかってるけど、それでも自分は辛いんだっていう。どうしようもなく萌えるのはウンテジーザス×ヒョンリョルユダ(今更ですが×表記に他意はありませんよ念の為w)なのですが、JCSの解釈として私にとってしっくりくるのはジェリムジーザス×チサンユダです。ほんとべつものなんですよキャストによって…返す返すも2組しか観られなかったのは残念でしたねー。


でようやく次へ行きます。

カヤパたちとかシモンのソロとかホサナとかいろいろありまして~…ってざっくり飛ばそうとしてますが…シモン上手いです!めっちゃ熱いヤツ。スーパーサイヤ人みたいな髪型してるんですけど、歌もそんくらいフルパワーで熱唱です。スパーキング!って感じです。アンサンブルもちゃんと観たら何人かお気に入りのダンサーができそうなくらい、アクロバティックで見応えあります。あれほどエネルギッシュなダンスを観られるミュージカルなかなか無いよな~。かなりの割合で舞台上にジーザスとユダがいるので、なかなかアンサンブルに注目することが難しいんですけど…
JCSの音楽はアレンジも自由度が高いのですが、この韓国版のアレンジ好きなものが多いです。初見のときは初めて生オケの爆音で聴くJCSの音楽にただただ圧倒されてました。生で聴くとこうも違うのか!!なんだこれめちゃくちゃかっこいいな!!知ってたけど!!改めて!!ALW天才だな!!って興奮してたらあっという間に1幕が終わった思い出。もーほんっとにCD出して欲しい。まだ諦められない。インストで良いから欲しい。でもできれば全キャスト欲しい。フォロワーさんたちとも話してたのですが、全キャスト分収録して貰って自由に組み合わせを選択できる形式で出してくれたら最高。そしたらジェリムジーザス×ジェリムユダなんてことも実現可能だよ!1回聴いてみたい!

■Poor Jerusalem

ホサナの“Hey J C, J C won't you die for me?”のところ、映像化してるJCSの演出だとジーザスがはっと顔をしかめたりするんですが、韓国JCSのジーザスはぴくりとも表情を変えず、ただユダを見つめる。この時のジェリムジーザスの儚げな佇まいがたまらなかったー。

そしてジーザスが初めて揺らぎを見せる"Poor Jerusalem"

 끝없이 계속되는 이 고통과 절망 
 果てしなく続くこの苦痛と絶望 
 외면하면 난 살게 되리 살게 되리라 
 背を向ければ私は生きられる 生きられるだろう  
  이 땅의 내려진 끝없는 고통과 절망 
 この地に下された 果てしない苦悩と絶望 
 구원할 방법 오직 한 가지 내 죽음뿐이리 
 救済する方法はひとつだけ 私の死だけ 


「背を向ければ生きられる」わかってるんだよジーザスは…そんな道だってあるってことはユダに言われなくてもわかってるんだよー…

■Pilate's Dream

そのまま舞台中央で跪き、ピラトが現れる。
この"Pilate's Dream"もアレンジがすごく叙情的で、明るく照らされたジーザスを眩しそうに見つつ歌うのですが、ジェリムジーザスに至っては頼り無さげな表情でじっとピラトを見たりするので、この時点からピラトがかなり苦しんでいて切ないです。

■Temple

ヒップホップダンサーが現れてダンスバトルが始まったりなんか色々やってるんですが、何より偽ジーザスが出て来るのがすごいインパクト…この偽ジーザス、踊り狂いながら葉っぱでバッシバシ人を叩いていって、みんなそれを有り難がってお布施するんですけど、もうほんとにこれが不気味で…動きが怖すぎて目に焼き付いてるよ…この演出、後方で観てる人は最初偽物だってわからなくてぎょっとするんじゃないでしょうか。

本物のジーザスが現れ、ドーーーンと偽物を突き飛ばして怒る!やっちゃってやっちゃって!そいつまじで気持ち悪いからこらしめちゃってー!
ここのジェリムジーザスの歌声の爆発には圧倒されました。ずっと低く落ち着いた声で歌っていたジーザスの高音シャウト!私が観た回はジェリムジーザスの2度目の登板だったのですが、しっかり作り込んでいる印象のウンテジーザスに比べ、感情に身を委ねて歌っている感じがすごくライブ感があってどきどきした。下手に触ったら壊れてしまうんじゃないかと思うくらい危うくて"人間"を感じるジェリムさんのジーザス、好きです。

■I Don't Know How to Love Him

ハム・ヨンジさんは妹、イ・ヨンミさんは姉御って感じで随分印象の変わるマリアだったのですが、ジーザスに無防備に身体を預けられたまま歌うのが切なさ増しててよかったです。しかしあまりにユダの愛が全編にわたって強調されていて、マリアの想いがあんまり入ってこないんだよな…この曲も二幕のユダへの伏線になっているような印象。

曲が終わり、舞台後方で祈りを捧げたまま眠った?起きてる?ジーザスにそっと近付くユダ。チサンユダはそっとジーザスの髪を撫でる。ここ、上手だと見えにくいのですけど他の方のレポでジェリムユダはジーザスの額に額をつけるとか、ヒョンリョルユダは腕から肩を撫でる、みたいなのを見かけました。この慈しむような触れ方に、ただ尊敬の念だけでなくジーザスを守りたいんだって気持ちが伝わってくるんですが、それもつかの間、気付いたジーザスがユダを見つめ、裏切りへと促す。切ない…。

■Damned For All Time/Blood Money

ユダはカヤパたちのところへゆきますが舞台後方にはジーザスがおり(ここのジーザスはユダの見ている幻のような感じですかね)「なぜ貴方の手伝いをしなければいけないのか」のあたりはジーザスに懇願するように歌ってます。ヒョンリョルユダもチサンユダも「呪いを受ける俺の名前、ユダ」はもう絞り出すような苦しげな声で…「ゲッセマネ」も口からその言葉が出るのが忌まわしいって感じの苦痛の表情で吐き出します。

銀貨の袋も、ユダは拒否するのですが、ジーザスに見つめられて仕方無く受け取り、カヤパたちが去ったあとに投げ捨てる。そのまま舞台後方のジーザスに向かって行くユダ。チサンユダはジーザスにすがりつき、崩れ落ちる。ヒョンリョルユダはジーザスを見つめますが、視線を反らし悲壮な後ろ姿でジーザスの隣に立つ。
この時のウンテジーザスですよ。苦しむヒョンリョルユダの肩に手をかけようとするけれど、その手を下ろしてしまう…。とことんユダに冷たいウンテジーザスが実はユダを想っているっていうこと、観客はここで知るけれどユダには伝わらないんですよね…。なんだよーやめてくれ泣ける!!

心を殺して使命へと突き進むジーザスが、ユダの苦痛を目の当たりにして表情を揺らがせますが、もう一度固い表情で舞台中央へ進み、手を広げ十字を作り、光に照らされ、一幕終わり。


この時点で切なさにころされそうな状態で、二幕受け止められるのか私?っていつも思う…

続きます。

〈前回に引き続き、韓国語歌詞と訳詞は
satokoさんのブログからお借りしました。〉