今回は、湖北の石道寺(しゃくどうじ)・鶏足寺、国宝十一面観音像で有名な渡岸寺、木之本の街並み、そして奥琵琶湖パークウェイの景観を中心にお送りします。
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湖北には、何度来ても飽きることがなく、いつも新鮮な感動に包まれてしまいます。この魅力はどこにあるのか・・・、うまく表現できませんが、湖西は白髭神社のある高島町辺りから、湖東は伊吹山を望むことができる辺りから、それまでとは雰囲気のちがう、何か包み込まれていくような不思議な空気を感じるのです。
美しい紅葉で定評のある石道寺には8時過ぎに着くことができたので、団体さんとは一緒にならずにホッとしましたが、それでも多くの人たちがすでにこられていました。
参道に至る村の道は傾斜があり、それに沿って用水が流れていました。そこでは、朝の冷え込みの中にも関わらず、おばあさんが大根をせっせと洗っておられました。
 
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鶏足寺では、たくさんのアマチュアカメラマンが、数十万もするようなレンズをつけ三脚を使って撮影に興じておられたり、私よりもはるかに年上と思われる方が二台もカメラを提げて軽やかに動き回っておられたりと、「豊かな国・高齢化社会日本」を印象づけられました。
 「神前神社」は、案内地図には小さく書かれているだけでコースには全く含まれていませんが、石段があまりにも急峻なのでついつい上ってみたくなりました。左足の傷口が痛む私には少しきつかったのですが、上ってみると神秘的な光景に出会いました。昨夜雨が降ったために水分をたっぷりと含んだ杉の木肌に朝日が当たり、湯気が濛々と上がっているのです。そういえば鶏足寺に繋がる山道でも、花を咲かせた茶の木に朝日が当たり湯気が上がっていました。凛とした空気と温もりのある湯気のコントラストが、湖北の空気を感じさせてくれます。
 
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次に、高月町の高源寺(渡岸寺観音堂)の十一面観音像を拝みに行きました。全国にある七体の国宝・十一面観音像の中でももっとも美しいといわれ、腰のひねり・一歩前に出した右足・大きく作られた頭上面、「じとう」と呼ばれるイヤリングなど多くの特徴と、背面からも拝観できる展示方法のすばらしさに感動しました。住職の穏やかで分かりよい解説も、すばらしいものがありました。
鎖国の世でも隣国との熱烈な交流を行っていた「朝鮮通信使」で名を馳せた雨森芳洲の庵では、その魅力にとりつかれて高校教師を定年前に辞めてまで研究に没頭した方と知り合い、通信使にまつわるさまざまなお話しを聞くことができました。旅行は、すばらしい風景・風土や歴史との出会いであるとともに、人との出会いが大きな魅力となりますね。
 
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  <雨森芳洲の館付近の天川命(あまかわみこと)神社の大銀杏の木>
 
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 この後、北国街道の宿場町として栄えた木之本に行きました。中心にある「木之本地蔵尊」でろうそくとお線香を立て、街並みをゆっくりと見て回った後、老舗の「すし慶」で昼食をとり、意富布良(おほふら)神社の紅葉を楽しみました。
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 このあと、マキノのメタセコイア街道(あの美しい並木道はまだ紅葉していませんでした)を抜けたのち、奥琵琶湖パークウェイに入りました。海津の桜並木はすでに落葉状態でしたが、奥琵琶湖の波静かな湖面には周辺の紅葉した木々の色が映し出され、えもいえぬ美しさ。白洲正子が言う「日本最後の隠れ里-管浦」から続くパークウェイは、全山見頃で錦秋のカーテンに包まれたよう・・・・・。つづら尾崎展望台に着いた時は、太陽もまもなく沈み空の色が刻々と変化する、まさにマジックアワー。真横からの光を浴びて、まるで紅葉をライトアップしているようでした。
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