今日の朝起きると斜向かいのおじさんの家の前に引越しトラックが止まっていた。
何か既に作業が始まっているらしい。


何ヶ月か前お母さんが夜中にその家に救急車が止まったと行っていた。
元々関わりは無かったが、それから生活感は感じなくなった。恐らく入院したのだと思っていた。
今日だってもしかすると普通にどこへの引越しかもしれない。

けれど人生100年時代の現代でそのおじさんはせいぜい7割程しか人生を使っていないように見えた。

普通の引越しだといいなと作業の音が聞こえる部屋で何度も思った。



それから、丁度半年ほど前のことを思い出した。
隣の隣のおばあちゃんのお話である。
その人は年老いた犬と二人暮しで、よく散歩中声をかけてくれたり小さい頃は食べ物をくれたりした。
家はボロボロの平屋だけれどテレビと犬とおばあちゃんの声が聞こえて好きだった。


それがある日突然おばあちゃんはいなくなった。
何日かすると家の取り壊しが始まった。
いつまでもおばあちゃんのバイクは家の横に置かれているのに平屋のボロボロの家はあっという間に無くなって駐車場になった。

後からおばあちゃんの娘が犬を引き取ったことだけ聞いた。

私はお別れもお礼もなんにも返せなかったなぁ