会計データを過去にさかのぼって訂正するのはメリットなのか?
先日、税理士を探しているという創業予定の方のご相談を受けました。
その方は私の前に3名の税理士に会ったとのこと。
これは素晴らしいと思います。
税理士は一度付き合うとそれほど頻繁に変えるものではないでしょうし、
相性も大事ですし、個人的には、お互いに知恵を出し合いながら、
システムを作り上げていくのが良いと考えているので。
さて、その際に、こんな質問を受けました。
「TKCシステムのデメリットは何ですか?」
私は、様々な面で中小企業経営に最適なシステムであると考えてお勧めしているので、
パッと思い付かなかったのですが、その後に、このように言われて、なるほどと思いました。
「過去にさかのぼって会計データを修正できませんよね。」
一般的に、TKCでないシステムベンダー、
そして、それを使用している会計事務所が売りにしているのが、
会計データを遡及訂正できるということだったりします。
ちょっと待って下さいね。
今日は、会社法で適時に記帳することが定められているのに、
という法律論で話すつもりはありません。
会計で会社を強くするという面から考えて欲しいのです。
何のために記帳して月次決算を組むのでしょう?
それは、月次決算が終わったら、その現実を受け入れ、
常に次の打ち手を考えるためではないでしょうか。
私は独立する前、TKCシステムを使っていない事務所に勤務して、
そこでは、当たり前のように過去データを修正していました。
そして、そうやって程よい決算を組むのが、
会計事務所の仕事だと勘違いしました。
だからこそ分かるのです。
毎月、会計を締めるからこそ、次を考え続けられるということを。
締めるのは勇気がいるのです。
過去を修正できるということは、後でどうにでもなるから、
赤字なら過去を直せばいいやということになります。
経営者もにんげんで弱いですから。
そして、過去の会計データは直せますが、過去の業績は修正できません。
経営とは、未来を描き、それを実現するために考えて行動するものだと考えています。
会計データを毎月締めるからこそ、未来を描ける。
経営者の皆様の意識の変化を見て確信しています。