2日目の夜は、老舗シャンソニエ「オ・ラパン・アジル」へ。
シャンソニエとは生のシャンソンが聴けるバーの事。
ピカソやユトリトなど数多くの芸術家たちが通った店らしい。

最寄り駅に着き、外に出ると、
目印になるものが何も無い静かな場所だったので、
立ち止まってしまった。
地図さえ理解できない。

駅の前には、別れを惜しむ若いカップルの姿が。。
愛しくなる様な光景だった。
と思ったのもつかの間。
そんなのもおかまいなしに、二人のキスの最中に、話しかけてしまった。

「この店に行きたいんですが」という私に、
彼氏の男の子が「連れて行ってあげる」と言う。

フランス語で文句を言う彼女と、心配そうな私の両方に
「ノー プログラム」と何度も言い、
彼女と別れて案内してくれた。

滞在中何度もフランス人に道を聞いたが、皆フランス語で返して来た。
噂通り、フランス人は英語を話したがらない。
私はフランス語が「ボンジュール」と「メルシー」しか分からないのに。。。

でも彼は初めて、私に合わせて、ゆっくりと丁寧な英語で話してくれた。
彼は22歳で、国際関係の仕事をしているらしい。
私は24歳だ、というと「若く見える」とお世辞まで行ってくれた。
女優だと言うと、頑張ってと最後に握手までしてくれた。
そして辛い坂道だったのに、笑顔で去って行った。
本当に何の問題も無かった。
彼女は幸せ者だと思った。



お陰で店に到着。



中も外も本当にいい雰囲気。
古き良きパリがそのまんま残っている。
店員さんは優しく、明るく、丁寧に接してくれる。
日本人女性の特権なのか?
いや、ただ優しいのだ。
この人だけじゃなく、滞在中優しいフランス人は沢山居た。

歌は始まっていた。
5人くらいのシャンソン歌手がステージの無いこの店で、
客みたいにテーブルに座って、歌っていた。
パリに来て初めて鳥肌が立った。




私の隣は熟年の日本人夫婦。
歌手とコミニュケーションを取り、歌手に要求されると、
話せないフランス語で歌ってみせて、観客の笑いまで取っていた。
日本人っていいな、と嬉しくなった。

向かいは綺麗なフランス人女性3人組。
ずっと笑う事無く、のる事無く聞いていた。
もちろん皆が皆じゃないけど、友達から色々話を聞いて、
私が想像していたままのフランス女性たちだった。

日本人の女性観光客も居て、シャンソンを聞きながら泣いていた。

そうなるのも分かる位だった。