小沢一郎代表は11月4日、石川県小松市内で講演に招かれ日本政治の現況について話しました。その中の野党協力に関しての発言要旨を下記にご紹介します。
今、安倍政権の下で日本の政治が執り行われています。自公政権が日本の将来、国民の皆さんにとって本当に良い政治を行っているのなら、私は決して批判しません。しかし今日の安倍政権の政権運営を見ますと、日本の将来にとって本当に危ういやり方をしています。国民の皆さんの生活を守っていくという観点からしても、このままでは国民生活、経済社会は崩壊してしまうのではないかと感じています。
ところが今、政治は一強多弱です。自民党以外は小さな政党ばかりです。しかしながら国民の間では、格差が拡がり、生活の先行き・見通しが立たないなどいろんな問題で自民党政権に不満を持っているはずです。野党がその受け皿を作れば、必ず国民皆さんの支援が得られると思います。我々の側に責任があるのです。
そういうことを言い続けてきたら、思いがけず、最初に反応したのが共産党でした。皆さん共産党と言うと、私もそうでしたが、色眼鏡で見がちです。共産党が今まで全選挙区で候補者を立ててきたことから私は、志位さんに会うと「利敵行為だ。自民党の補完勢力ではないか。共産党が候補者を立てなければ、こちらがとれるのに」といつもからかっていました。
ところが共産党は本気になって変わりました。まさか共産党があそこまで決断するとは思いませんでした。今まで日米安保条約に反対と言っていたのが、ある以上しようがない。自衛隊もある以上しようがない。日本が攻撃を受けたら自衛隊で反撃する。必要ならば日米安保でもって米国にも頼むと言っています。そして君主制についても、「憲法を守るのだから(天皇制の規定を含む)憲法も守る」と180度転換しました。すごい決断を本当によくしたなと思います。
もちろん我々が共産党と一緒の政党になるという話ではありません。ただ共産党が現在の日本の国家体制を基本的に認めたわけですし、「自民党政権は国民のためにならない。だから変えなくてはいけない。そのためには野党協力する」という点では共産党と一致できると思います。野党結集しなければ、来年の参議院選挙ではべた負けになると分かっていながら二の足を踏んでいる他野党に「共産党に先を越されてどうするんだ」と私は言っています。
「共産党と共闘するなんてけしからん」と言う人がいます。だけど皆さん考えていただきたい。明治維新はどうやってできましたか。薩摩と長州が手を握って初めて明治維新ができたのです。その前年に薩摩と長州は蛤御門をめぐって殺し合いの戦争をしています。非常に仲が悪かったのです。しかしこのままではいけない。討幕のため、文明開化の世を作るために手を結ぼうということで、坂本龍馬のあっせんを得て薩長連合ができ討幕、明治維新が実現したのです。
政治の目的は何だということを政治家は考えなければいけない。それは国民のために、国民の生活を守るためにあります。政党がどうだとか。あいつが好きだとか嫌いだとか。そんなことを言っていたのでは政治になりません。
私は何とかして、今年中に野党の連携のための基本的な合意をきちんととりつけて、来年の参議院選挙、その後に来る衆議院選挙に臨みたいと思います。国民皆さんの力を結集して国民のための政権を作ることができるようぜひともご協力をお願い申し上げます。