まずは一つ目。


習志野高校の監督さんの話。


千葉大会決勝、東京学館浦安を14対2の大差で破って甲子園出場を決めた直後のインタビューに感動した。


細かいセリフは覚えていないが、以下のような内容だった。


「浦安市も習志野市も震災の影響が少なくない。こんな中で野球ができる環境を作ってくださる関係者の皆様に感謝したい。少しでも明るい話題を提供できるよう甲子園でも頑張りたい」


この言葉に感動し、子どもたちに後日伝えた。


このチームは必ず甲子園でも上位に勝ち上がると確信した。


監督のハートが違う。


自分のことやチームのことはほとんど話さず、(野球ができる)感謝を決勝のお立ち台で話せる監督は素晴らしいと思う。


2つ目。


昨日甲子園を去った金沢高校の球児たちの話。


彼らは敗戦後、「甲子園の土」を持ち帰らなかった。


全員がそのための瓶を用意してきたにもかかわらずだ。


理由は「甲子園の土を思い出にしなくても、僕らが最高の仲間と過ごせた時間は心の中にしっかりと残っているから」だそうだ。


これまた感動で言葉が見つからない。


「悔しさも(多少は)あるが、(それよりも)全力を出し切った感の方が大きいから涙は出ない」そうだ。


そういえば、帝京高校戦であの逆転満塁ホームランを放った八幡商5番の遠藤和哉君も、作新学院に敗退した昨日の試合後、全く同じことを言っていた気がする。


「全力を出し切った」と言える人って、カッコイイ。


その試合は縁や運がなかったかもしれないが、得た財産は計り知れないだろう。



理想が何かは人により解釈が違うだろうが、私は2つの話に自分の理想を重ねる。


なぜ、それを目指すのか


勝利よりも大切なものが絶対にある


結果は全力で追い求めるが、それ以上に大切なものが必ずある


今回の甲子園大会はいつも以上にそれを教えてくれている気がする。


それは震災後の特別な大会だからか?


それとも自分が年食ったせいか?


そんなはずはない。


いつの時代のどこのチームも、追い求めているものに差はないのだから。


全力を出し切ったから涙はない。


教え子たちにはそういう受験をさせてあげたいと思う。


でも、やっぱり勝って感動の涙を流したいが。