私が早稲田アカデミーで勤務しはじめて4年目くらいに最高の手紙を見ました。
受験生本人からの、入試5日前の手紙です。
今でもハンカチなしでは読めません…。
合格者の手紙ではありません。
我が子があなたに受験直前に送った心のこもった手紙だと思ってじっくりと読んでください。
彼女は第一志望に合格できますか?
志望校判定からは、ほぼ可能性ゼロと出ている子です。
我が家が同じ立場なら…あなたはどんな心境になりますか?
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お母さんへ
途中で体をこわしたりして大変だったけど、今まで誉めてくれたり、失敗したことがあれば慰めてくれて本当に有難う。
お弁当を毎日作ってくれて有難う。
いけないことは叱ってくれて有難う。
もう、お礼を言うことがいっぱいです。
いや、お礼では言い尽くせないくらい感謝しています。
受験当日、がんばるね。
4年生から3年間、受験勉強をしてきたけれど、その頑張りを当日、示してみせます!
お父さんへ
10月、おばあちゃんが亡くなって本当に悲しかった…。
でも一番悲しかったのはお父さんだよね。
それでも私が受験だからと、夜遅くまで働いて何か買ってきてくれたり…。
本当に本当に感謝しています。
わからない問題を一緒に考えてくれたり、有難う。
今までの努力を全部、当日注ぎ込みます。
受験の日はお父さん仕事だけれど、いい知らせを待っていてください。
先生方へ
私はアカデミーに入る前までは、ぜんぜん受験という自覚を持っていませんでした。
アカデミーで勉強し始めてからは、第1志望なんて全然決まっていなかったけど、「受かるんだ、受かるんだ」という気持ちはありました。
その気持ちを起こしてくれたのが先生方です。
先生方のお蔭で受験を迎えることができました。
こんな私でもやればできるんだということがわかりました。
当日は今までの頑張りを無駄にせず、先生方の期待を裏切らないように頑張ります。
自分へ
お父さんやお母さんは、あの頃に比べればすごく伸びたと誉めてくれました。だから自分のことを誉めてあげてもいいんじゃないかなぁと思う時がありますが、自分は心の中で思っていることを口にできません。
そういうことがとっても下手です。
でも、当日は言える、言えない関係なく「自分はできるんだ」と人一倍自信を持って心の中に暖めていきます。
そして見事合格を勝ち取ります。
もし、2/1に失敗しても、2/2に失敗しても、くじけずに最後まで2/5までやりとおします。
合判で毎回毎回、「5%」という文字しかありません。
でも私は「次こそ、次こそ」と思いながらテストを受けてきました。
合判は本番じゃないから、別に悪い点数を取っても本番、本番が良ければいいと私は思います。
ついに残るはあと5日。
まだ気持ちの整理はついてないけれど、2/1には何もかも整理して受験に望みます。
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いかがでしたか?
彼女は結局第一志望は不合格でした。
受験の神様は厳しいものです。
こんないい子に合格を与えないのですから。
しかし、お父さんの転勤の理由で受験したある県の県下有数の学校に入学することができました。
手紙から「強く優しいハート」が伝わります。
いま彼女は二十歳くらいでしょうか。
いつか自身の子どもを持ったら、きっと素晴らしい母親になることでしょう。
自分をほめてあげたい
マラソンの有森裕子が挫折と苦境を乗り越え、国民の前で発した言葉。
それをこの子はたった12才で言ってのけたのです!
負けそうになっても最後まで諦めず、5%(※)の数字を何度たたきつけられても挫けなかった彼女だからこそ心の底から言えた言葉です。
※現在の合判は最低が20%の判定です。
ねぇ、皆さん。
とことんやった受験勉強は子どもを大きく成長させるんです!
ちょっとでも「子どもがかわいそう」と思うことは、もしかしたら大人の罪ではないでしょうか?