次の会話を見てほしい。
ある美容院に対する2人の婦人の会話である。

A「あそこって、いいって評判よ。」
B「どうして?」
A「だって芸能人がいっぱい来るんですって!」
B「へぇ、すごい!私も行ってみようかしら。」

こんなバカな会話はないだろ!って思う方がいるかも知れない。
でも、“評判”って案外これに近かったりする。

「行列のできるラーメン店ランキング」のような雑誌やテレビ番組が一時流行った。
申し訳ないが、私はランキング上位の店で「これは!」と思った所はあまりない。
いや、正確に言えば「たいして美味くない」のである。
「ひょっとしたら長い待ち時間に唾液が十二分に分泌され、美味しく感じてしまうのではないか。」とさえ思ってしまう。
たしかに行列ができているのは事実だから、多数の人に支持される味なのだろう。
でも、それが自分には合うとは限らないのである。

では塾の評判はどうか?
開成・桜蔭に行くならSAPIX。ライバルも多くシステムも魅力。
低価格でアットホームな日能研。情報量の多さも頼れる。
伝統と信頼の四谷大塚。YTカリキュラムはやはり№1。
体育会系でグイグイ引っ張ってくれる早稲アカ。熱血先生が多い。
面倒見のいい市進。金銭的・時間的にも軽負担で通いやすい。
身近で通いやすい栄光。システムも整備されている。少人数も魅力。
塾の実力なら啓明舎か希学園。徹底的に鍛えてくれ合格率がすごい。
などなど…。

「アットホーム」「熱血」「面倒見がいい」などは何人に調査して何人がそう言ったのか?
そう、たいていは数値的根拠などないのである。
最近のCMは「イメージ」「個人の感想です」などの但し書きが小さく表示されることが珍しくなくなったが、これとさして変わらないのである。
その塾の先生はみんなそうなの?
答えは当然NOである。

一方数値的根拠のあるものはどうか。
「○○中に多く合格」「低価格」「拘束時間が短い」などだ。
しかし、これらは我が子の成績を伸ばしてくれること、第一志望校に合格させてくれることとは関係のない事実。
マイナスの評判も同様である。
某掲示板を訪ねると保護者が塾の看板を背負ってでもいるかのように、我が塾は素晴らしい、あの塾はダメだと口論を繰り広げている。
そんなことをしても我が子の合格とは一切関係がないのに…。


評判なんて、いい加減なもの。
それが我が家に当てはまるとは限らない。

できる子は、どこの塾に行ってもきっと合格する。

大切なのは、できない我が子を「目の前の先生」が救ってくれるのか否かということ。
親・子・塾の三位一体。
言うは易く、行うは難し…

保護者の皆さんが塾の看板に誤魔化されないよう…
子どもたちがライバルと一緒にいるだけで勉強した気にならないよう…


塾講師が集まってくる愛すべき子どもたちを鉄砲の弾(数撃ちゃ当たる)にしないよう…

“いい評判”ではなく、“最高のドラマ”を創っていきましょう!!