今日は昨日の放映で話したことを掘り下げます。
軽井沢の研修で全国の塾講師相手にもしてきた話なので、企業向けの雰囲気がただよいますが、保護者・塾講師の両方に読んでほしい内容です。

「vision(ビジョン)の意味はわかりますか?」とまず私は聞きます。
するとたいてい「見えること」という返事が返ってきます。
おそらくvisible(ビジブル:目に見える)やvisual(ビジュアル:視覚に訴える)などから連想するのでしょう。
でも、ここでいうvisionとは、「未来を見通す力」と訳してください。
「あの社長は素晴らしいvisionを持っている」という感じです。
ここで注意したいのは、visionは“夢”とは異なることです。
「この会社が大きくなるといいなぁ」「我々の給料が上がるといいなぁ」というのは漠然とした“夢”です。
visionとは
(1)期限付きで(2)具体的(定数的)で(3)挑戦的で(4)達成可能な目標
を指します。
組織を動かす5つの条件を以下のように定めます。
①経営理念・活動目的
②守るべき価値
③vision
④戦略
⑤戦術

早稲田アカデミーで言えば①は日本の将来を担う人材の育成で、②は成績を上げ志望校に合格させることなどでしょう。
①②は経営陣によって支えられます。しかし③以下は「現場で」決まるのです。
visionのハッキリしない部門長であれば、その部門は成長しません。
そしてvisionが明確であってはじめて戦略が立ち、困難にぶつかった時も「目標達成のためにはプライベートを多少犠牲にしてでも頑張るぞ!」と全員の踏ん張りがききます。
visionなき上司のために人生の貴重な時間を預けたいとは誰も思いません。
さて、ここで2軒の床屋さんがあったとします。
A店の店主は「売上が伸びればいいなぁ」といつも夢をみています。
B店の店主は「年末までに必ず売上を倍増する」とvisionを持っています。
この2店には圧倒的な差がつくはずですが、それは何故ですか?
店の雰囲気や店主の態度ではありません。
答えは「目線」と「日々の行動」なのです。
A店主はきっと日々の出来事に振り回されるでしょう。
お客のクレーム・仕入れ先とのトラブル・アルバイトが辞めたなどなど…。
それを見ていると哀れで滑稽でさえあります。
ところがB店主は常に「年末の状態」に目線がいっているので、目先のトラブルには振り回されません。
ドンと座っています。
「目標と現実のギャップ」を常に冷静に分析し、次の手を考えています。
ドワイト・アイゼンハワーの有名な言葉があります。
「急ぎの仕事が重要であることはめったになく、重要な仕事が急ぎであることもめったにない」
重大で緊急のクレームの対処が「重要な仕事」ですか?
違います。そういうクレームが出てしまう組織作りに問題があるのです。

ここまでの結論です。
visionなきリーダーには人はついてこない!!

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さてさて。そろそろ家庭に目を向けましょうか。
お宅にはvisionがありますか?
それは漠然とした夢ではありませんか?
それは一方的な親の押し付けではないですか?

もしあなたが毎日宿題のことでお子さんと口論になり、毎週のテストでお子さんにガミガミ言い、ノートの書き方や復習の仕方でついつい余計なことを言ってしまっているのなら、
あなたはA店主に近づいてますよ!

もちろん管理は必要です。
毅然と叱らなければならない場面も必ずあります。
でも重要なことを忘れてはいけません。
あなたのお子さんに向けた言動はすべて、
vision達成のために発せられ
その言動によってプラスを生むもの
でなければなりません。
もう一度、日々の家庭を見つめ直してください。
改善点はきっとあるはずです。
きっと、あなたの中にも!



完
早稲アカ小5の皆さんへ。
昨日の放映では本当はこんな話をしたかったんです。ところが氷河期だの火星だのって脱線しまくって「残り4分」でしたから、あんなんになっちゃいました!(笑)