1 債務整理において検討すべき要素
(1)債権の内容と債務者側の事情
(2)債務額について
(3)支払方法:分割の場合(以上、前ブログ)
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4)債務者側の事情:収入、財産等の支払能力
   さて、任意整理の場合の分割での支払金額は概ね割り出せたわけですが、現実医これを継続して支払っていけるかどうかは、もっぱら債務者の支払能力にかかってくるわけです。

   分割払いを希望される方は、通常ご自身に支払いに当てることのできる財産は持たず,もっぱら毎月の収入から支払うことを想定されておられると思います。

   そうすると、収入から日々の生活費等を差し引いた分(ここでは「可処分所得」と言いましょう。)を支払に充てることになるわけですが、これがいくらぐらい確保できるかが問題となります。

   以下は、統計などによるものではなく、もっぱら当職の経験からの目安となりますが、「確実に継続的な支払が可能な収入と毎月の支払金額」は、

  毎月の支払金額=(「毎月の手取り収入」-「家賃(住居費)」)×(0.15~0.25)

ではないかと考えております。

  手取収入が多い方や住居費の割合が低い方は、支払に充てる割合は高くなり、収入の低い方及び住居費の割合が高い方は、その割合は低くなると考えられます。

  以下のように例を挙げてみましょう。

   A.月の手取り15万円、家賃5万円の場合

     (150,000円-50,000円)×0.15~0.2=15,000円~20,000円

   B.月の手取り20万円、家賃5万円の方の場合、毎月の支払金額の上限は、

     (200,000円-50,000円)×0.2=30,000円

   C.月の手取り30万円、家賃8万円の方の場合は、

     (300,000円-80,000円)×0.2~0.25=40,000円~50,000円

   D.月の手取り35万円、家賃10万円の方の場合は、

     (350,000円-100,000円)×0.25=62,500円

となります。

(5)任意整理が可能な債務額

  そうすると、逆に任意整理可能な債務総額も概ね割り出せることになります。

  すなわち、

    毎月の支払金額×60=任意整理の債務総額

となるわけですから、前述の例からすれば、

   Aの場合:15,000円~20,000×60回=90万円から120万円

   Bの場合:30,000円×60回=180万円

   Cの場合:50,000円×60回=300万円

   Dの場合:62,500円×60回=375万円~400万円

と言うことになります。

  以上のように考えると、手取り収入が、
 ・15万円以下の場合、金90万円から120万円まで

 ・20万円以下の場合、金200万円まで。

 ・30万円以下の場合、金300万円まで。

 ・35万円から40万円までの場合、金400万円まで

が現実に任意整理可能な債務額だと考えられます。

  もちろん、ご相談者様の様々な事情(ボーナスがある、家族の援助が得られる等)により、上記に当てはまらない場合もありますが、目安としては、上記を基準に任意整理が可能かどうかをご検討の上、個人再生や自己破産も考慮される必要があります。