後悔しない失敗しない眉下切開1 | たるみ治療Dr境のブログ

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美容外科医・形成外科専門医 境が
日々の症例を解説いたします。

他院眉下切開修正相談は非常に多く、1日に2件手術する日もあるほどです。このブログ記事は少しでも眉下切開で失敗や後悔が少なくなることを期待して書きました。

 画像は他院眉下切開後のかた:眉頭を切らず眉尻中心に

 皮膚切除されているので目頭が下がりつり目になっている

 まばたきするとまぶた内側に斜めの不自然な線が入るが

 自分では気づいていないかたも多い

 

形成外科医の眉下切開に対する平均的意見

「傷跡は絶対ゼロにできない。眉下切開を気軽に受けないで後悔するから」と言うのが、形成外科専門医でも平均的な意見だと思います。しかし、症例数が多く自信がある医者はまた違った見解を持つものです。※以下はわたくしの感想を正直に述べただけで個人攻撃のつもりはありません。少しでも多くの眉下切開希望のかたの後悔や失敗の確率が減るヒントになればうれしく思います。

 

眉下切開は流行なのか?

「眉下切開が流行してる」と今だけの現象のように語られることが多いものです。でも、一時的に流行してるという話ではなくて、眼瞼下垂の手術・二重埋没・二重切開など二重整形のシェアを奪いながら広く受け入れられるようになってきたんだと思います。

 

手術方法の差は執刀医の差以上に激しいものです。時代遅れになってさびしく消えて行く手術もあれば、他の方法にとって代わって標準的な地位を獲得してゆく手術方法もあります。

 

眉下切開大流行は眼瞼下垂手術の流行をも越えて、その昔、二重埋没法が出てきて二重切開のシェアを奪いながらメジャーになっていったころの雰囲気を彷彿とさせるほどです。

 

私は15年前、もともと形成外科にあった「眉毛下皮膚切除術」という手術を始めました。13年前、「眉下切開」と呼称し、ブログやコラムに書いて宣伝し続け、今では日本一の症例数となりました。もともと良い手術方法であったこともあり、昔はマイナーだったこの手術が今ではメジャーになりました。

 

眉下切開を流行らせたのは私?

 

「眉下切開」という言葉を作ったのは私です。13年前、九州の形成外科医が何のツテもなく東京郊外の美容外科に就職しました。そのとき、経営者から「先生の得意施術は?」と聞かれました。

 

「よくやってた手術は皮膚腫瘍切除、瘢痕形成、眼瞼下垂手術、眉毛下皮膚切除術・・」と答えたところ、「眉毛下皮膚切除術って早口言葉みたいでキャッチ―じゃないわね。何か名称を考えて」と言われて作った言葉でした。(ちなみに眉下リフトという造語もあるようです。)

 

この手術はリスクが少なく、メリットが多いので、いずれメジャーになると気付いていたからこそ、この手術にこだわってたくさんやるようになりました。ただし、二重ラインで行う他のまぶたの手術とは違い二重の溝にキズがかくれないので、傷跡がキレイでなければゆるされません。

 

通常、外科医は始めたばかりの手術が下手で、「屍をたくさん乗り越えて上手くなる」なんて言われますが、私の眉下切開は幸い、2例目から今とかなり近いクオリティーでした。

 

1例目は九州の高齢者で「目つきが自然なのに目がよく開いて楽になった」と喜んでくださいました。でも、傷跡が眉毛の下に離れており、眉毛と無関係にまぶたに傷があるように見えて目立っていたので今でも申し訳なく思っています。

 

その方法は今も広く行われている眉毛の下に沿って毛根を傷つけないように切る「毛包斜切開法=ウィッジインシジョン」でした。この方法では、傷に近い部分の毛根が死んで眉毛が抜けてしまうので、経過とともに眉毛の下から傷跡がだんだん離れて行くように見えます。

 

2例目からは学会で聞いた傷跡から眉毛が生える「毛包斜切断法」という方法を取り入れたので、傷跡が目立たなくなりました。

 

眉毛の下に沿って毛根を傷つけないように切る「毛包斜切開法=ウィッジインシジョン」

傷跡から眉毛が生える「毛包斜切断法」

 

 

眉下切開のダウンタイムDTキズや内出血・腫れ

 

早く抜糸しすぎると溝状の傷跡になることがあるので、当院の眉下切開は術後10日前後で抜糸しています。抜糸は1週間以内でなければ糸のあと(糸状痕)が残ると言う意見もありますが、糸を結ぶことが下手なドクターの言い分です。

 

糸結びは組織がピッタリ合っていながら圧が強すぎず、結び目はゆるまないように強くといった相矛盾する3つの事に気を付けて瞬時に行わなくてはなりません。そして、糸結び以外の手術手技はすべて患者さんのお顔やお体でしか本当は練習できません。ですから、糸結びの練習と手術のシミュレーションが外科医の日常的な義務なのです。

 

ちなみに当院の眉下切開の皮膚縫合は細かい単結節縫合ですから、ウォータータイト=防水とお考え下さい。直後から傷を洗えるし、翌日からパウダーやリキッドで眉毛を描いてもらえます。

 

その上、極細の7-0半透明ナイロン糸で縫っていますから、抜糸前、糸や傷でバレたという話は全く聞かれません。

 

眉下切開手術直後、非常に細かい単結節縫合、ウォータータイト=防水と考えてよい

翌日からパウダーやリキッドで眉毛を描いてもらえる、画像はパウダーでメイク後

 

内出血による腫れや色味ではバレることがありますが、1週間後、コンシーラやメイクでかくせなかったという話もありません。また、抜糸後は傷が赤いのですが、やはりメイクでカバーできるようです。

 

「眉下切開は傷跡がかならず残るので一生ダウンタイム」という意見があります。しかし、当院では翌日から眉毛を描けることもあって、傷や傷跡は誰からもバレないことがほとんどです。

 

そのため土日を利用したり、3~4日の休みで受けるかたが多いようです。でも、絶対バレたくないかたは1週間お休みを取ってください。

 

もしバレたら「眼瞼下垂の手術を受けたんだよ」といった切り返しができる方以外、家族に内緒だけはやめたほうがいいと思います。

(※眼瞼下垂その他という保険の手術として眉下切開を行ってるドクターは多いみたいなのでウソではありません。)

 

連続縫合は浸出液が漏れて水が入るので洗えませんし、連続縫合による傷跡は浸出液によるかぶれのため強い赤みが長く続きます。一方、単結節縫合では術後初期から傷を洗って血液や浸出液による汚れ・ばい菌をキレイに落せるため、傷跡の赤みがマイルドですからメイクでかくせます。

 

ちなみに、洗えないと、くさくてかゆみが強いので、洗えない期間はバリバリのダウンタイムDTです。

 

眉下切開のダウンタイムDT感染について

皮下を縫った糸が出てくる埋没糸膿瘍などの感染や異物反応のほとんどは受けた人の体質によって生じるものではありません。本当は執刀医が手術中に毛・うぶ毛やホコリ・ガーゼの繊維などを丁寧に取り除かないから起こることが多いのです。

 

大量の生理食塩水で洗浄することで良しとする医師が多いようですが、そのような方法ではほとんど取り除くことができません。時間をかけて1つ1つ丁寧にピンセットで取り除く以外に確実な異物除去方法なんてありません。

 

そして、他院修正手術をたくさんやっているからこそ気づくことがあります。内部にこれらの異物を残したままにしていると、発赤腫脹を繰り返し組織が硬くなっています。後から残留異物を完全除去するには悪性腫瘍の手術のように広範囲に切り取るしか確実に取る方法がありません。

 

また、感染リスクがあるので遠方からの手術はNGという話が多く聞かれます。しかし、当院では大阪など関西のかたがとても多く、それどころか北海道から九州・沖縄まで日本全国から眉下切開を受けに来られます。(コロナ前はアメリカやヨーロッパだけでなくブラジルやアフリカからも当院の眉下切開を受けに来られました。わたくしが日本語しかできないので全員日系人のかたでしたけど・・)

 

私が遠方のかたにも眉下切開をすすめることができるのは、他院修正で1例感染があった以外、感染がいまだに1例もないからです。

 

 

眉下切開のダウンタイムDT肥厚性瘢痕・ケロイド

 

眉下切開で肥厚性瘢痕(ケロイド状の傷跡)になるという意見があります。形成外科学会・美容外科学会JSAPSJSASでも、その対策について再生医療まで使った演題があるほどです。

 

再生医療の話は大げさすぎて、高額な費用を追加で取ることが目的だろうと勘繰ってしまいます。でも、リザベンやケロコートくらいは使っている形成外科医が多いし、素人の方もアットノンやヒルドイドなどを塗ったりしてることがあるようです。

 

私は1700人以上眉下切開を行ってきましたが、ケロイドや肥厚性瘢痕になるどころか、その心配を一度もしたことがありません。肥厚性瘢痕対策の薬を使うことはありませんし、当院眉下切開の同意書にはケロイド・肥厚性瘢痕という言葉すらないほどです。

 

当然なんでも予防が一番大切でして、肥厚性瘢痕にならないよう切って縫うほうが、傷跡ができてしまった後から対策するよりもずっと現実的です。どうも、眉下切開に関しては間違った肥厚性瘢痕対策が広く一般的に行われているようです。

 

眉下切開では、私が行っている「毛包斜切断+中縫いはナイロン糸での眼輪筋折り畳み縫い+皮膚はナイロン糸での単結節縫合」が一番正しいと思います。

 

私と同じ方法で何度やっても上手くいかないためでしょうか?溶ける糸で強く真皮縫合をかけられたデコボコ相談がよく来ます。数カ月たってもひどい凸凹ですし、2年後みても結構デコボコです。

 

体の真皮縫合はナイロンで強く盛り上げて縫ってもかまわないけど、顔はPDSのような溶ける糸でも長期間盛り上がりが残る。まぶたはデコボコがほぼ永久に残るので真皮縫合をかけないほうがよいと形成外科に入局してすぐ習いました。

 

眉毛下の皮膚は顔とまぶたの中間的性質を持っていますから、溶ける糸で真皮縫合しても術後初期のデコボコが強いときはほとんど永久に残るはずですよね。

 

また、昔よく行われていたテーピングは、眉毛が抜けてキズが目立つだけでなく、テープをはがすときの刺激で傷跡が幅広くなるので、私は20年以上前から一度も行っていません。

 

タトゥー切除後の肥厚性瘢痕:中央に斜めに走ったミミズ腫れ状のもの、こんなものが眉下切開後できるなんて、まるでホラーです。

 

他院眉下切開3か月後、吸収糸4-0PDSによる中縫い・真皮縫合が強くデコボコしている

 

眉下切開のダウンタイムDTひきつれについて

眉下切開後、腫れてる時つり目だけど、半年くらいでなじむという話はウソです。わずかな腫れは3カ月くらいあるのかもしれませんが、抜糸の時つり目の人は、すぐ修正してもらったほうがいいと思います。

 

ましてや、半年待ってから判断するという話は見慣れたり怒りがおさまるのを待ってるだけだと思います。技術力があるドクターだったら手術中や直後から何十年後までいつでも修正可能です。※2~4か月は修正しにくいケースがあるので直後から1か月以内または半年以降の修正は一理あります。

 

つり目は受けた人の顔立ちなど個人差によるものではなく、眉頭まで切れなかったり、切れても外側を多く切り過ぎてしまったり、縫い方が悪かったりなど執刀医のセンスや技術によるものがほとんどです。

 

眉下切開で眉頭まで切らず外側だけ皮膚切除したり縫い方が悪いとつり目になる、受けた人の顔立ちはほとんど関係なく執刀医の技術やセンスの問題

 

ここまで眉下切開のダウンタイムDTについていろいろ述べてきましたが

当院で眉下切開を受けられたかたが感じる平均的なダウンタイムは3~4日くらいだと思います。